顧問と聞くと、高い能力をもった一部の人や、大手上場企業の元役員だけがなれるものだと思っていませんか。そんな顧問の形もありますが、最近は新しいタイプの顧問も出てきています。一般企業で長年まじめに勤務した会社員が顧問として活躍しているケースなどもあります。
「顧問」ってそもそもどんな人?という疑問から、最近の顧問トレンドについてわかりやすくお話してきたいと思います。
顧問とは?
企業から依頼を受け、自身の専門的な知識やスキルをもってサポートや指導に当たるプロフェッショナルのことです。豊かな経験・高度な知見を、企業の課題解決のために提供し、アドバイスにとどまらず、実際の現場で実行支援を行います。
顧問の3タイプ
顧問には大きく分けて3種類あります。それぞれ見ていきましょう。
これまでの顧問…大企業の元役員がなる
「顧問」と聞いていちばんにイメージするタイプかもしれません。上場企業の元役員が退任後に常勤役員として就くものです。名誉職的な意味合いが強くなります。これまでの経験を活かし、退任後も経営者の経営上の相談に乗ったり、アドバイスを行ったりします。給料は会社役員と同じ扱いで常勤は有給ですが、非常勤は無給となるケースもあります。
新しいタイプの顧問…専門分野のエキスパート
近年注目を集めていて、ニーズも高くなってきている顧問のタイプです。一般企業の特定の分野で長年勤務してきた人がその経験やスキルを活かし、他の企業で課題解決や新規事業のサポートなどを行うものです。定年退職した人だけでなく、30代40代の若い世代が複業として、もしくは50代60代のシニア層が早期退職をして顧問として働いています。
専門家…弁護士・税理士など
弁護士や税理士、コンサルタントなど法務や税務、経営などの専門知識をもつ資格者に、専門知識を生かしたアドバイスをもらうものです。外部の専門家から専門的で客観的な意見を聞けるため多くの企業で顧問契約を結んでします。
顧問を置くメリットや報酬について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考に。
外部顧問、内部顧問という分類
顧問を社内、社外という視点から分類した場合には2種類に分けられます。外部顧問と内部顧問です。
- 内部顧問
- 企業の元役員が退職後に経営に関わる
- 外部顧問
- 顧問弁護士・顧問税理士など
- 新しいタイプの顧問
先ほどご紹介した新しいタイプの顧問は「外部顧問」の分類に入ります。内部顧問は長年培ったノウハウを持った人に経営の指南をしてもらえるというメリットがありますが、現職の社長や会長より権力をもってしまうこともよくあります。役割や存在が会社組織の中で不透明だと問題視され、最近は顧問や相談役の制度自体廃止する大手企業も出てきています。
一方、外部顧問は外部の客観的な視点で自社を見ることができるため、近年増加傾向にあります。
企業での顧問という立場
内部顧問の企業での立場について見ていきましょう。
実は顧問自体は会社法には存在しない立場です。それぞれの企業の判断で設置するしないを決められる存在です。そのため、勤務形態や報酬に関する規定などもありません。週5で勤務する顧問や月に2~10日の実働など、企業によってさまざまです。
代表取締役であった人が取締役のまま顧問を兼任することもあります。このような場合は取締役として登記され、会社法上の役員に該当します。取締役は退任し、顧問という役職で会社に関わる場合は、取締役ではないので役員という扱いにもなりません。この場合、経営に関するアドバイスをすることはあっても株主総会での就任の是非を審議されたり、説明責任を問われたりすることはありません。
企業の顧問契約について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考に。
今、注目されているのは新しい顧問 “実務顧問”
一般企業の特定分野で長年経験を積んだプロフェッショナルが、企業の課題解決や新規事業開拓など取り組む新しいタイプの顧問が増えてきているとお話しました。サラリーマン時代に「当たり前に」「普通に」やってきたことが、他企業にとって必要としているスキルだということはよくあります。実際、様々な分野の業界・職種で顧問として支援してほしいという企業のニーズは高まってきています。
実務顧問の例としては、1つ目は、技術顧問。専門分野の技術知識やノウハウを持っている人が技術面でのサポートや指導を行います。2つ目は、営業支援顧問。営業戦略の見直しや、営業マンの育成、営業全般の組織づくりに関するアドバイスや現場での指導を行います。他にも販路開拓を支援する顧問、Webマーケティングの顧問など多種多様です。
まとめ
「顧問」の種類や役割についてお話してきました。顧問についてイメージが変わったという人も多いのではないでしょうか。特に新しいタイプの顧問は若い世代の会社員が将来を見据えたスキルアップの手段として顧問としての働き方を選択しています。
長年企業で特定の分野で経験・スキルを磨いてきたよ、という方はぜひ自分ごととして顧問のこともっと調べてみてください。自分の可能性が拡げるチャンスになるはずです。