誰しも一度は聞いたことがあるであろう「顧問」と呼ばれる役職。企業の重役の一つですし、誰でもなれるような役職ではないと思いがちです。しかし、最近顧問は副業として気軽に働くことができる役職となりつつあります。これまでよりも顧問として働く環境が整ってきた今だからこそあなたも働き方を見直してみませんか?
この記事では、顧問としての働き方はもちろん、顧問として働くことで得られる報酬について詳しく解説していきます。
顧問とは
顧問とは、これまで自身が培ってきた経験や専門的な知識を元にして、企業などから相談を受けてそれに対する助言を行います。企業経営や事業成長のための補佐などを行っています。顧問以外にも、ブレーンやアドバイザーとも呼ばれることがもあります。
しかし、顧問は会社法で定められている役職ではないため必ず設置しなければいけないというわけではありません。設置するか否かは企業の自由なのです。
役割について
顧問としての最大の役割が、専門的な知識を持っている立場から企業に対してより有益なアドバイスを行うことです。専門的な知識を持っている顧問として挙げられる代表的なものが、以下の3つの顧問となっています。
・顧問弁護士・顧問税理士
顧問弁護士は、企業で発生した問題について相談を受け法律の専門家という観点から、具体的にどのように対処したら良いかをアドバイスしてくれます。顧問弁護士の場合、問題が発生してから顧問契約を行うのではなく、基本的には年間契約など長期間にわたって企業のサポートを行います。
法律は専門性の高い分野ですので、顧問契約を行うことで平時から緊急時に至るまで気軽に相談することができるようになります。
顧問税理士は、企業の税務に関する疑問や不安点について相談を受け、税務の専門的な知見を持っているのが顧問税理士です。顧問税理士は、税務相談はもちろん決算や申告書類の作成、税務調査の対応、税務処理の代行などを行ってくれます。
・経営顧問
経営顧問は、経営のスペシャリストとして企業経営に関わる事業面や組織面の問題についてアドバイスを行います。経営顧問として活躍する人物は、経営コンサルタントや企業経営者に多くみられ、これまでの知見や経験を活用して企業の課題解決に取り組んでくれます。
・実務型顧問
実務型顧問は、自信が持っている知識や経験を使って企業の課題解決を行います。アドバイスを行うことはもちろんですが、必要に応じて現場の社員とともに業務を行う場合もあります。自分では「大したことない」と思っているスキルが他の企業から重宝されることもありますので、実務型顧問は幅広い方に活躍できるチャンスがあると言えるでしょう。
また、実務型顧問のように直接指導を行う顧問として技術顧問も挙げられます。企業の技術的な課題についての相談を受け、それに対して専門的な知識をもとに技術的な面をサポートすることを目的としています。
技術面は、これまでの経験や知見が豊富な人物であればあるほど企業から求められる可能性が高く、技術顧問は技術面の協力を行うだけではなくエンジニアへの指導を直接行うこともあります。
顧問の種類について
一言で「顧問」と呼ばれていますが、顧問は大きく2つの種類に分けることができます。
外部顧問
1つ目は、外部顧問です。一般的に顧問弁護士、顧問税理士など専門的な知識を持っている方が外部顧問と呼ばれます。外部顧問は、専門知識を持ったアドバイスを受けることができる点が大きな特徴となっています。
仮に、法律に関する問題に対する相談を行いたい場合は弁護士と外部顧問契約を結ぶことで法律に対する問題の解決を図ることができます。自分たちに専門の知識がない場合でも、外部顧問契約を行うことでしっかりサポートを受けることが可能です。
近年注目を集めている「実務型顧問」も外部顧問の一種となっております。実務型顧問も弁護士や税理士と同様に専門的な知識、豊富な経験を持っているプロフェッショナルとしての活躍が期待されています。
内部顧問
2つ目は、内部顧問です。「内部」とついていることからわかるように、内部顧問は企業の中から選出されて顧問になった人物のことを指します。もともと務めていた企業で管理職や役員を行っており、役職を退いた後に内部顧問となるのが一般的です。
外部顧問とは違い、企業の隅々までを把握しているのが内部顧問の特徴だと言えるでしょう。場合によっては、役職に就きながら内部顧問も兼任することも考えられます。
相談役や役員との違い
顧問とよく比較されがちなのが、相談役や役員です。なんとなく違うのはわかっていても、厳密にどのような点が異なるのか正しく理解している人は少ないかもしれません。
顧問と相談役の違い
企業経営や事業成長のための補佐や指導、アドバイスを行う顧問に対して、相談役は企業経営で生じる問題に対してアドバイスを行います。具体的な問題としては、情報漏洩や著作権の侵害などが挙げられます。
顧問と役員の違い
役員とは、取締役、会計参与、監査役を指しています。会社法に定義されていない顧問とは異なり、役員は日本の会社法できちんと定義されています。また、役員は会社組織を作り、業務を監視するなど、会社全体の方針を決める権限を持っている点も顧問とは大きく異なります。
顧問を検討している人へのメリット
働き方改革により、個人はもちろん企業としても社員の働き方を見直す動きが急速に高まっている現代。副業として顧問を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。顧問として働くと以下のようなメリットを得ることができます。
- 本業では得られないスキルや知識が身につく
- 複数の企業に携わるため人脈を広げるチャンスになる
- 定年後を意識したキャリア設計ができる
- 副収入を得ることができる
顧問の報酬相場や雇用について
顧問として働く上で気になるのが、報酬や雇用についてです。先ほど解説したように、現在の日本には顧問に関する法律や統一された規定はありません。そのため、企業によって雇用形態や待遇、報酬面などで大きな違いが生まれる可能性があります。
顧問として契約を結ぶ場合は、多くが「委任契約」として行われます。聞き馴染みのない委任契約ですが、実際の成果物で報酬を計るのではなく業務を行うことを対して報酬が支払われます。契約形態を委任契約とすることで、アドバイスや指導の機会がなかったとしても報酬を得ることができるのです。
雇用契約を結ぶことも可能ですが、その場合会社法で定められている要件を満たす必要があるため事前に確認するようにしましょう。
顧問の報酬相場や雇用についての詳細は、
【顧問として働いた報酬は?】培ったキャリア知識で顧問として働く
にも記載してありますのでぜひご覧ください。
内部顧問と外部顧問で報酬相場は異なる
顧問の報酬相場は、内部顧問と外部顧問で異なります。しかし、顧問として一貫して言えることは統一された規定がないということです。そのため顧問の報酬額についても企業によって異なります。
内部顧問の報酬は、過去に務めていた内部顧問の報酬額を基準として設定されていることがほとんどです。
一方で、外部顧問の場合はより専門的な知識を持っていることから依頼する顧問によって報酬の相場が異なります。
顧問として働くためにするべきこと
ここまで顧問の役割や顧問の種類、契約面について解説してきました。しかし、実際に顧問として働くイメージをまだ持てていない方もいらっしゃるかもしれません。
顧問として働く場合、まず最初に行うことは人材派遣会社などへの登録だと思われがちです。もちろん、人材派遣会社に登録を行うことも大切ですが、まず最初に行っていただきたいのが自分の強みを把握することです。
これまでどのような成果を上げてきたのか、他の顧問と比べた時にアピールすることができる自分だけの強みは何かを明確にすることで企業に対してアピールしやすくなります。
顧問として働くために行うべきことをより深く知りたい場合は、
顧問登録サイトに挑戦する前に準備しておきたいこと4つをご覧ください。
まとめ
今回は、顧問という働き方にスポットを当てた内容をお伝えしました。顧問として働くことは、収入アップにも繋がりますし、キャリアアップとしても活用することができます。顧問として働いている方は定年退職をされた方が多いイメージですが、20代後半から顧問として活躍されています。
年齢に関わらず、知識や経験があれば誰でも顧問として活躍することが可能です。顧問として新しい働き方を開拓してみてはいかがでしょうか。