締結前に必ずチェック!顧問の「業務委託契約書」重要ポイント4つ

現場に入り相手先企業の社員と一緒に課題解決にあたる、今注目の「実務型顧問」。働き方はなんとなくイメージができたとしても、実際にはどんな風にどこと契約を結び、どういった立ち位置で仕事をするものか、さらにもう一歩踏みこんで、締結する契約書の内容についても知っておきたいところです。

ここでは顧問契約の「業務委託契約」とはどういうものか、「業務委託契約書」を締結する前にチェックすべき重要ポイント4つについて解説していきます。これから実務型顧問として活躍したいと考えている人は特に必見です!

顧問契約に多い「業務委託契約」とは

顧問契約は派遣会社を通した「業務委託契約」が大半

実務型顧問は、派遣会社と顧問が業務委託契約を、派遣会社と企業がコンサルティング契約を結ぶという「三者間契約」が一般的ですが、近年では派遣会社を通して相手先企業と業務委託契約を結ぶ「二者間契約」も増加しています。一方、企業と顧問が直接「雇用契約」を結ぶことは大変少ないのが現状です。

三者間契約はコンサルティング型と呼ばれ、仲介手数料の有無は派遣会社によって変わります。二者間契約はマッチング型と呼ばれ、なるべくコスト面を抑えたい企業や顧問向けのサービスで、派遣会社は顧問や企業を紹介するだけにとどまるため、仲介手数料はかかりません。

派遣会社の仲介があった方が安心という方はコンサルティング型を選ぶ、企業を探すところから契約まで自由に進めたい、コスト面を抑えたい人はマッチング型を選ぶなど、自分に合った型を選択するとストレスがなく進めることができるでしょう。

業務委託契約とは?

業務委託契約とは、あらかじめ「業務委託契約書」で契約した業務内容を行うことで報酬がもらえる契約です。

いわゆる派遣OLなどが派遣会社と結ぶ「雇用契約」は、雇い主と労働者という雇用関係が生まれますが、それとは違います。実務型顧問はフリーランスの「個人事業主」であり、企業とも派遣会社とも対等の立場で、どことも雇用関係はありません。

ゆえに特定の1社に縛られることはなく、同時に複数の企業からのオファーに答えられるのも「業務委託契約」の特徴でもあります。

ここをチェック!派遣会社と結ぶ「業務委託契約書」重要ポイント4つ

実際にはまだまだ三者間契約が多く、派遣会社より「業務委託契約書」が提示され顧問がサインするというパターンが多数です。

顧問が一から契約書を作成する機会は少ないと思われますので、ここでは契約書を締結するにあたり、最低でもここだけはチェックしたい重要ポイント4つをご紹介します。

委任契約or請負契約どちらか(契約形態)

法律上では、業務委託契約には2種類あります。どちらの契約かを確認せずに進めて、もし成果物の出来具合で合意が取れない時などにトラブルにつながりやすくなります。しっかり確認しておきましょう。

委任契約

業務を「行うこと」自体に報酬が支払われます。よって成果物が生まれるか否かは問われません。例えば何かの調査業務を依頼され、結果的に依頼者の望む結果が出なくても特に問題はありません。

請負契約

「完遂した業務(成果物)」に報酬が支払われます。例え作業をしたとしても、業務を完遂(完成)させなければ報酬を受け取ることができません。委任契約に比べ責任が重いとも考えられます。

依頼内容が明確であるか(委託業務の内容)

依頼される業務内容は、細部までしっかり確認が必要です。気になる項目がもし契約書に掲載されていない場合は事前に派遣会社に問い合わせをするとよいでしょう。

【チェック項目】

  • 業務や成果物の仕様、数量
  • 依頼内容の着地点(どこまでが契約の範囲か、何をもって成功とするか)
  • 完了日や納品日
  • 成果物の検品や保管業務の方法
  • 定期的な報告や相談方法(期日や報告ツールなど)
  • 勤務形態(常勤or非常勤、月の出社回数、勤務時間など)

報酬について合意できているか(報酬の支払い)

報酬の認識の相違は大きなトラブルの元です。必ず合意がとれてから先に進みましょう。報酬額の相場がわからない場合は、クラウドソーシングサービスのサイトで調べてみることもおすすめです。

【チェック項目】

  • 報酬金額
  • 長期契約の場合、毎月定額型or成果報酬型/短期契約の場合は単発業務型
  • 報酬支払いの条件(何をもって報酬支払い確定とするか)
  • 報酬支払時期(支払日、支払タイミング)

法令に抵触していないか(禁止事項に関する規定)

企業と個人事業主の規模の違いを利用して企業が不当な条件で契約しようとしていないか、相手企業がどれだけ真剣な気持ちでこちらに向き合おうとしているのかという点を見極めます。また逆に顧問が業務上行ってはいけないこともしっかり把握します。

【チェック項目】

  • 企業からの違法な仕事の依頼ではないか
  • 不当に低い報酬ではないか
  • 禁止行為(営業代行時の顧客に対する執ような勧誘など)

トラブル回避に欠かせない「顧問契約書」

「顧問契約書」は顧問をトラブルから守る唯一のものです。何か起きた時に契約書という盾があればいかようにも対処できます。世の中全体がコンプライアンスに敏感な今、契約書の重要性は増すばかりです。

大切なことは、誰が読んでも解釈に相違がないように記載すること。そのためにも契約書締結前の個人チェックをしっかり行い、派遣会社(二者間契約の場合は、企業)と顧問の双方でいったんすり合わせをしてから、実際の契約書締結の流れを踏んだ方が間違いがありません。

また相手が契約に慣れている派遣会社や企業だからといって全てお任せではなく、顧問自ら契約をチェックするという姿勢が必要です。

まとめ

実務型顧問の顧問契約は、派遣会社を通した「業務委託契約」が大半で、企業と直接「雇用契約」を結ぶことは大変少ないのが現状です。ただし「業務委託契約」はどことも主従関係は生まれないため、顧問は同時に複数のオファーを受けることも可能です。

業務委託契約書の重要チェックポイントは、委任契約か請負契約か、依頼内容が明確か、報酬について合意ができているか、法令に抵触していないかの4つでした。

「業務委託契約書」は顧問を守る唯一の盾です。契約書をおろそかにすることはトラブルの元であると認識し、事前にしっかり契約書をチェックしてから締結に臨むという姿勢を身につけましょう。