廃止が進む?顧問の現状と在り方を徹底解説

企業や団体においてアドバイスを行ったり、業務の補佐を行うのが顧問の仕事です。

そんな企業になくてはならない顧問ですが、廃止が進んでいるというニュース記事も見られます。この記事では、顧問の仕事が本当に廃止されているのか、なぜ廃止が進んでいるのかについてご紹介します。また、実は廃止されずに逆に注目されている顧問があることもお話しします。

この記事を読んでいただければ、廃止のリスクが少ない顧問の仕事について知ることができ、安心して顧問の仕事をすることが可能です。

顧問廃止の現状

顧問の役職は、廃止が進んでいるという現状があります。

日本たばこ(JT)やカゴメ、パナソニックなどの大企業を中心に顧問の廃止が行われています。これらの廃止されている顧問は「内部顧問」という種類の顧問です。内部顧問は社長など、その企業の役員を経験した人物が就任する顧問のことです。企業全体の経営方針や決定事項についてアドバイスを行うなどの業務を担当しています。

現在、この内部顧問が廃止、設置をしないという動きが進んでいます。

顧問を廃止する理由

顧問の仕事を廃止する理由として下記の3点があります。

  • 「院政」のリスクがある
  • 役割が不明確で不透明である
  • 名誉職的に置かれている場合は会社に負担になることもある

それぞれの項目について解説していきます。

「院政」のリスクがある

内部顧問は、その企業の元役員が会社の経営方針などを含めた重要事項に関してアドバイスを行うため、本来は会社の意思決定から離れたはずの「顧問」が実質的に経営権を握ってしまうといういわゆる「院政」のリスクがあります。

顧問の仕事は、本来は役員の「補佐」が仕事ですが、アドバイスを行うという立場上、顧問が実質的な実権を握ってしまいかねないという問題点が懸念されています。

役割が不明確で不透明

顧問という役職は取締役や会計参与、監査役などの会社法で役割が決まった役員とは異なり、役割が法律で決まっていません。そのため、顧問の役割は企業ごとに異なります。

明確な役割を持って顧問を就任させている企業もありますが、実際には何をしているのかわからない不明確で不透明な顧問も会社によっては存在します。この不明確さゆえに顧問を廃止した方がいいのではという動きが高まりました。

名誉職的に置かれている場合は会社に負担になることも

内部顧問は、元社長や会長などが就任する場合も多く、実質的な役割はほとんどない、名誉職的に設置される場合もあります。名誉職的な内部顧問には、実際はあまり仕事がなく、設置の費用面などで会社の負担になってしまっているということもあります。また、この名誉職的な顧問が長く居座ることで、さらに企業にとっての負担が莫大なものになることが懸念されます。

廃止される顧問もあるが注目される顧問もある

内部顧問は廃止されつつありますが、それとは逆に注目される顧問もあります。それは、実務型顧問です。この項目では実務型顧問がどのようなものなのか、なぜ廃止される顧問もある中注目されているのかについてお話しします。

従来の顧問とは全く違う実務型顧問

注目されている顧問とは外部顧問である「実務型顧問」のことです。実務型顧問は廃止されている顧問とは違い、実務を行う全く新しい顧問と呼ばれています。

その会社の役職者が就任する内部顧問とは違い、実務型顧問は外部顧問でありその会社での就業経験や役員の経験がない人材が就任します。また、実務の補佐を行うため役割が明確で従来の顧問とは立ち位置も仕事内容も大きく異なります。

実務型顧問についてはこちらの記事もご覧ください。

「実務型顧問」として第二の人生を踏み出す!あなたのスキル経験を強みに

実務型顧問は「名誉職的な顧問」ではない

先ほどの項目でもお話ししましたが、実務型顧問は外部の人材が就任する場合がほとんどで、名誉職的な役割であることはありません。名誉職的ではないのでいわゆる「お飾り」で実務をしないということがなく、会社にとって負担なだけということもありません。

実務型顧問が廃止と無関係な理由

実務型顧問が廃止と無関係なのには明確な理由があります。その理由とは下記の3点です。

  • 実務を行う・補佐するため職務内容が明確だから
  • 「院政」と無関係だから
  • 社内にはない魅力的なスキルで企業をサポートしているから

この項目では、実務型顧問が廃止と無関係な理由を解説します。

実務を行う・補佐するため職務内容が明確

実務型顧問は職務内容が明確であり、かつその企業のメインの仕事や第一線の現場にもかかわることがある顧問です。実務型顧問にも法律で決まった仕事というのはありません。ただし、営業の職務経験がある実務型顧問であれば営業のアドバイスを行ったり、自身の人脈を活かして営業先を相談するなど、明確な職務を行います。

「院政」と無関係

実務型顧問は基本的には、その会社での職務経験はない外部の人材です。また、会社の具体的な「実務」の部分にのみ関わり、会社全体の経営にはかかわらないことも多いので「院政」とは無関係であると言えます。そのため、「院政」を懸念して実務型顧問が廃止されるということはないでしょう。

社内にはない魅力的なスキルで企業をサポート

実務型顧問は、社内にはないスキルや経験で仕事をサポートするため必要とされる人材であることも廃止とは無関係な理由です。営業や管理部門、技術部門などあらゆる現場で実務型顧問のスキルは重宝され、登用が進んでいます。

まとめ

この記事では、顧問の廃止が進む現状と、廃止のリスクが低い実務型顧問についてお話ししました。会社の元役職経験者などが就任する内部顧問については、大手企業を中心に廃止する会社が出てきており、廃止が進んででいるといってよいでしょう。

しかし、廃止が進む内部顧問とは逆に、実務型顧問は企業の実務の現場を経験や社内にはない魅力的なスキルでサポートするため重宝されるという現状があります。実務型顧問は廃止のリスクが少ない魅力的な仕事であるといえます。