定年退職後は、のんびり過ごそうと考えている人がいる一方、新しく別の仕事に就く人や、起業しようと考える人も増えています。
その中で注目されているのが顧問という働き方。
顧問は会社を立ち上げる必要も、雇われる必要もなく個人事業主として活動可能です。しかし長年会社員として勤めてきた人にとっては、個人事業主がどんなものかわからない人も多いのではないでしょうか。
顧問活動する人にとって、個人事業主の知識は必須です。今回は個人事業主として顧問活動するメリットやはじめ方を解説します。顧問活動に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
個人事業主とはなにか?
個人事業主という言葉は耳にしたことがある人も多いと思います。ここでは個人事業主とはなにかを解説していきます。
個人事業主とは事業所得を得ている人
個人事業主とは税法上の区分を意味する言葉です。簡単に説明すると、法人を設立せずに事業所得を得ている人のことをいいます。なる方法は簡単。開業届を税務署に出せば個人事業主です。
開業届の提出は義務ではないので、提出しなくても活動はできます。しかし特別控除が受けられる青色申告が利用できないので、提出しておいた方がよいでしょう。一定の所得額以上を得たら確定申告が必須になります。
フリーランスと同じだと思う人もいるかもしれません。フリーランスとは働き方を意味する言葉で、個人も法人も含まれます。個人事業主はあくまで個人であり、法人化した個人は含まれません。
個人で顧問活動するなら個人事業主の知識は必須!
会社員時代は面倒な税金関係の手続きは、すべて企業がやってくれていました。しかし顧問として活動するならば、これらの手続きもすべて自分でやらなければなりません。
毎年、納税額を決めるための確定申告という手続きがあります。
面倒くさいからと手続きをしなかったり、知識がなく正しく申告できたかったりするとペナルティを受ける可能性があります。正しく申告していれば、支払う必要のなかった税金を支払うことにもなりかねません。
そのため顧問活動するために、個人事業主としての知識は必須です。確定申告の方法などは、税務署に行けば教えてもらえるので、しっかりと理解しておくようにしましょう。
個人事業主として顧問活動するメリットは?
個人事業主として顧問活動すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つのメリットを解説します。
オフィスを構えたり在庫を持つ必要がない
個人で事業を始めると聞くと、オフィスを構えたり在庫を抱えたりする必要があるのではと考える人も多いかもしれません。
しかし顧問は自分の身が資本なので、商品の在庫を抱える必要はありません。基本的には企業に出向く形になるので、オフィスや事務所の準備も不要です。
そのため必要な資金もほとんどなく、知識やスキルさえあれば誰でも始められます。店舗を構えて、商品を抱えるとなるとリスクが大きいですが、顧問はリスクなく個人事業主として活動することができるのです。
派遣サービスを利用すれば営業活動もスムーズ
顧問となると、役員や社長など偉い立場にいた人がなるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし今は違います。のちほど詳しく解説しますが、今では実務型顧問という新しい働き方があり派遣サービスや、企業と顧問をマッチングさせるサービスもあります。
このようなサービスを利用すれば、自ら企業の扉を1件ずつ叩いて営業活動する手間もありません。サービス担当者が案件を紹介してくれるので、営業活動もスムーズに進められます。
年齢制限がない
会社には定年制度があり、一定の年齢に達したら退職しなければなりません。しかし個人事業主なら年齢制限がないので、自分が働きたいと思う年齢まで働けます。
顧問という仕事も専門知識やスキルがあれば、年齢は関係ありません。元気なうちは働いていたいと考える人にとって、個人事業主として顧問活動することは、大きなメリットといえるでしょう。
頑張り次第で稼げるチャンスも
顧問でもらえる報酬は、業務内容や契約内容により様々です。顧問派遣サービスを利用して月2回出社した場合の報酬相場は、1社あたり9万~12万円となります。
これだけだと会社員時代の収入には届かないかもしれません。しかし顧問は、複数社と契約することが可能です。顧問活動に慣れてきて、契約数を増やせばさらに収入を上げられるでしょう。
例えば1社あたりの報酬が10万円だったとしても、10社と契約できれば月収は100万円になります。自分の頑張り次第で大きく稼げるチャンスがあるのもメリットです。
個人事業主として顧問活動をはじめる準備をしよう!
では個人事業主として顧問活動するには、何からはじめればよいのでしょうか。ここでは基本の準備を解説しますので、参考にしてください。
必要なものをそろえる
個人事業主として活動するなら、報酬やかかった経費などはすべて自分で管理する必要があります。確定申告するために必要な業務とはいえ、面倒くさいですよね。
しかし、現在では便利な会計ソフトがたくさんあります。自動で仕訳してくれるソフトもあるので、用意しておくとよいでしょう。会計業務がかなり楽になります。
また、契約する際に必ずといっていいほど必要なのが印鑑。こちらも忘れずに用意しておきましょう。以下の3種類を用意しておくと便利です。
- 銀行印
- 実印
- 認印
認印はシャチハタを使っている人も多いと思いますが、事業ではNGな場合もあるので、きちんとした物を用意しておくとよいでしょう。
企業や派遣サービスとのやりとりをスムーズに行なうためにパソコンも必須です。契約書の確認や業務の遂行は、スマホだけでは難しい部分もあります。最近では会議などをWeb上で行なう企業も増えてきました。高性能でなくても良いので用意しておきましょう。
準備しておきたいものについての詳細を知りたい方は、こちらの記事も参考に。
税務署へ開業届を提出しよう
準備できたら、いよいよ税務署へ開業届の提出です。先ほども記述した通り、開業届は義務ではないので、提出しなくても事業は可能です。しかし提出しないと青色申告ができません。青色申告することによって損失を繰り越しできたり、65万円の控除を受けたりできるので提出しておくことをおすすめします。
青色申告するためには、開業届の他にも青色申告申請書の提出が必要です。決して難しい書類ではありません。わからない場合は税務署で丁寧に教えてくれるので、一緒に提出するようにしましょう。
開業届の欄に屋号を記載する欄がありますが、こちらは決まっていなければ空欄でも構いません。後から自由に変更もできます。
顧問紹介・派遣サービスに登録しよう
個人として顧問活動するならば、顧問紹介・派遣サービスへの登録は必須です。無料で利用できて、担当者があなたの強みや得意分野とマッチする案件や企業を紹介してくれます。
紹介・派遣サービスは複数ありますが、案件の受注率を上げたいならば複数のサービスに登録するのがおすすめです。担当者との面談では自分の強みや得意分野をしっかりとアピールしましょう。
顧問紹介サービスについて知りたい方はこちらの記事もご参考に。
実は実務型顧問として活動する人が増えている
先ほど触れましたが、定年後に実務型顧問として活動する人が増えています。実務型顧問とは、自分の強みや得意分野を活かして、現場に近い位置で企業支援を行なう顧問のことです。
顧問とは大きく分けて内部顧問と外部顧問という2種類があります。内部顧問とはこれまで役員を務めていた人が、定年後に同企業で顧問に就任する場合です。
外部顧問とは、税理士や弁護士など専門スキルを持つ外部の人と顧問契約する場合になります。
実務型顧問は外部顧問の一種となりますが、幅広いスキルを活かせます。これまで役員であった実績などは必要ありません。専門的な知識やスキルがあれば、これまで普通の会社員だった人でもなれるチャンスがあるのが実務型顧問の特徴です。
顧問紹介・派遣サービスなどが開始した背景もあり、定年後も働きたい人に実務型顧問が注目を集めるようになりました。
実務型顧問についての詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考に。
「実務型顧問」として第二の人生を踏み出す!あなたのスキル経験を強みに
まとめ
個人事業主として顧問活動するメリットやはじめる方法を解説しました。これまでは定年退職したら、のんびり過ごしたいという考えが一般的でしたが、時代の流れから働きたいと考える人も増えてきました。
それに合わせて、働き方も多種多様になってきています。個人事業主として顧問活動することは年齢関係なく、自分のこれまで積み上げてきたものを活かすチャンスとして注目を浴びています。企業と顧問をマッチングさせる紹介サービスや、派遣サービスも増えてきました。
様々なメリットがある働き方ですが、はじめはやらなければならないこともたくさんあります。パソコンや印鑑などの準備や、開業届などの手続きは必須です。確定申告のために、日頃から報酬の管理もしなければなりません。個人事業主として顧問活動する人は、必ずそれらの知識も理解しておきましょう。