近年、早期退職者を募集する企業が増えています。東京商工リサーチの調査によると2021年1月から10月までに72社が実施し、募集人数は約1万4,000人となりました。
30代だからまだ大丈夫と思っている人も多いと思います。しかし若い世代を対象とした早期退職募集を行なう企業も増えてきました。大企業もいつ潰れるか分からないのが現代です。今回は早期退職者募集の現状、もし30代で早期退職の対象になっても慌てないためにするべきことについて解説します。おすすめの働き方も紹介しているので、どのような状況になっても困らない状態を作りたいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
早期退職者の対象年齢が30代の企業も?
東京商工リサーチが実施した「早期退職やセカンドキャリアに関するアンケート」調査によると、早期退職を募集した企業の約43%が55歳以上を対象年齢としていることが分かりました。45歳以上を対象としていた企業も約12%ありました。
ここで注目するべきは、8%が全年齢を含む29歳以下も対象にしていたことです。実施企業全体で見ればその数値は0.3%と非常に少ない数値ではあります。しかし若い世代も対象にしている企業が存在するのは事実です。近年の景気動向を見ると、ゆるやかに回復してはいますが、様々な理由から業績回復しない企業はいまだ多く、30代・40代の働き盛り世代もいつ募集対象になるか分からない時代となっています。
「45歳定年制」という言葉が、一時話題となったこともありました。65歳まで定年延長が企業の義務となってはいますが、現代では大手企業が倒産してしまうこともあります。正社員だからといって、定年まで安定して働ける保証のある企業は、ないといっても過言ではないでしょう。
30代で早期退職したら退職金はいくらもらえる?
もし30代で早期退職した場合、退職金がいくらもらえるのか気になる人も多いと思います。定年前に退職した場合の退職金相場を調べました。
退職金相場(大卒の場合)
【大企業】
勤続年数 | 年齢 | 自己都合 | 会社都合 |
3年 | 25歳 | 34万円 | 70万円 |
5年 | 27歳 | 65万円 | 120万円 |
10年 | 32歳 | 192万円 | 316万円 |
15年 | 37歳 | 422万円 | 605万円 |
20年 | 42歳 | 812万円 | 978万円 |
25年 | 47歳 | 1290万円 | 1471万円 |
30年 | 52歳 | 1942万円 | 2112万円 |
出典:エン転職
【中小企業】
勤続年数 | 年齢 | 自己都合 | 会社都合 |
3年 | 25歳 | 24万円 | 38万円 |
5年 | 27歳 | 44万円 | 63万円 |
10年 | 32歳 | 115万円 | 153万円 |
15年 | 37歳 | 225万円 | 285万円 |
20年 | 42歳 | 381万円 | 458万円 |
25年 | 47歳 | 563万円 | 647万円 |
30年 | 52歳 | 749万円 | 856万円 |
出典:エン転職
実際の退職金の額は企業により異なります。早期退職の場合は会社都合となり、割増退職金が支払われることがありますが、その相場は年収の2倍と言われています。
これらの表と相場を参考に、37歳で早期退職した場合を想定してみましょう。大企業の場合、会社都合退職の退職金相場は605万円です。年収400万円だった場合、割増退職金は800万円で合わせて約1,400万円です。中小企業だった場合の退職金は285万円なので、割増退職金800万円を足すと約1,100万円になります。
高額ではありますが、退職金だけで働かずに暮らしていけるほどはもらえません。40代も同様です。その時になって慌てないためにも今から少しずつ準備しておくことが大切といえます。
30代で早期退職の対象になっても慌てないためには?
では30代で早期退職の対象になっても慌てないために今からどのようなことができるのでしょうか。ここでは3つ紹介します。
スキルを磨く
企業は中途採用者に即戦力を求めています。自分のスキルを磨くことは、今後仕事をしていく上で非常に重要です。スキルを磨き得意を伸ばしておくことにより、ライバルと差をつけられるので転職活動でも有利になるでしょう。磨いているスキルに関する資格があれば、取得を目指すのも良いかもしれません。
早期退職の対象になることはショックかもしれませんが、今の会社よりも好待遇の会社に転職できるチャンスと捉えることもできます。その時に有利になるよう、ぜひ日頃からスキル磨きを意識してみてください。
資産を増やす努力をする
資産を増やす努力もしましょう。ある程度資産があれば、会社を退職することになっても慌てずに済みます。退職後にすぐ新たな転職先が決まるとは限りません。転職活動中にも生活費や保険の支払いはあります。理想の仕事を見つけられるまでに時間がかかる可能性もあることを考えると、半年から1年分の生活費は貯蓄しておきたいところです。
また少し貯金に余裕が出てきたら、資産運用もおすすめです。少しずつ資産運用で増やしていき、ある程度の利益が出るようになればFIRE(ファイア)も目指せます。FIREとは「経済的自立をして早期リタイア」という意味で、投資や資産運用で得た利益で生活しながら、好きなことを実現するという生活スタイルを指します。FIREが実現できればフルタイムで働く必要はありません。
ある程度の資産が必要なのですぐには難しいかもしれませんが、将来に向けて資産運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
副業に挑戦してみる
今働いている会社が副業OKであれば、副業に挑戦するのも一つの方法です。早期退職することになっても他の収入源があれば、精神的にも金銭的にも負担が少なく済みます。
もし副業が軌道に乗れば、会社に雇われずに独立するという道も開けるでしょう。現在はクラウドソーシングサイトを利用して副業する会社員も多くいます。パソコン一台でできる副業も多くあるので、スキマ時間を利用して色々挑戦してみてはいかがでしょうか。
30代で早期退職後、顧問に挑戦する道もある
早期退職後の選択肢の一つとして、おすすめなのが実務型顧問です。定年後のシニア世代に注目が集まっていますが、30代・40代も活躍するチャンスが多くあります。大きく稼げる可能性もあるので、ぜひ知っておいてほしい働き方です。
顧問が求められる時代
顧問といえば定年後に就任し、企業をサポートするというイメージが強い人も多いと思います。確かにそのような顧問が昔は主流でしたが、実務型顧問はこれまでの役割に加え、現場担当者と一緒に実務にも携わる顧問のことを指します。
今需要が増えているのは、この実務型顧問です。経営課題を解決するための助けが欲しい時、社員を雇うよりもコスパが良く、必要な時に的確なアドバイスをしてくれる実務型顧問が企業に求められています。
30代、40代も活躍中
活躍できるチャンスがあるのは、50代・60代のシニア世代だけではありません。企業の経営課題を解決に導けるようなノウハウや知識があれば、30代・40代でも活躍できます。顧問派遣サービスに登録することで案件を紹介してもらえますが、サイトを確認すると30代の活躍事例も載っています。
働き方も常勤から非常勤、月1回の出社など自分のライフスタイルに合わせて働けるので、専門知識やスキルを持っている人は早期退職後、挑戦してみてはいかがでしょうか。
実務型顧問の働き方や給料の詳細については、こちらの記事も参考に。
まとめ
早期退職の現状や30代で対象になった時、慌てないためにやるべきことを解説しました。実施企業の約4割は55歳以上が対象ですが、20代・30代を対象にする企業もあります。どんなに大手の企業でも定年まで安定して働ける保証はないといっても過言ではありません。いつ早期退職の対象になっても慌てないように、今からできることを少しずつ進めていきましょう。資産形成に成功すればFIREという選択肢もあります。
また今後の選択肢の一つとして実務型顧問もおすすめです。専門知識やスキルがあれば、30代でも活躍できるチャンスがあります。顧問派遣サービスを利用するとマッチする案件を紹介してもらえるので、興味がある人は登録してみてはいかがでしょうか。