役職定年でやる気がなくなる理由4つ | モチベーションを保つ方法も紹介

「役職定年を迎えて役職から外れたとたん、仕事に対するやる気がなくなってしまった」

「会社の再雇用制度を利用することも考えていたが、やる気が続かない状態なのに定年後をどう迎えたらいいのか……」

などと悩んでいるのではないでしょうか?

役職定年を迎えると、これまで登ってきたキャリアの階段を降りることになります。

バリバリ会社で働いてきたシニア世代にとって、モチベーションを保ちながら定年を迎えることは難しい場合もあるでしょう。

一方で、役職定年を迎えることは、自身のキャリアや第二の人生をどのように歩むかをじっくり考える良い期間です。

そこで今回は、役職定年を迎えて仕事にやる気を失くしてしまっているあなたに向けて、やる気がなくなる原因やモチベーションを保つ方法についてご紹介します。

役職定年とは?

役職定年について最初におさらいしましょう。

役職定年とは、会社内で定められたある一定の年齢が来ると、部長や課長などの管理職の社員が定年退職に向けて役職を外される制度のことです。

役職を貰うことで会社内で上ってきた階段を、役職定年という形で一度降りなければならないため、会社に貢献してきた人の中には「突然」やる気をなくしてしまうという人が一定数存在します。

定年役職を導入する会社の狙い

社員のパフォーマンスを重要としているはずの会社が、なぜシニア社員のやる気を削いでしまうような制度を導入しているのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

定年役職を採用する会社には、以下の4つの狙いがあると考えられます。

  • 若手社員のモチベーションアップを計りたい
  • 人件費を削減したい
  • ポスト不足の解消
  • シニア世代のキャリアシフトを促す

以下より、詳しく解説します。

若手のモチベーションアップを図りたい

役職定年を行う会社では役職定年制度により、若手社員の仕事に対するモチベーションを図ろうとしています。

いわゆる「組織の新陳代謝」と呼ばれており、役職定年を迎えたシニア社員が一線を退くことで若手のモチベーションアップにつなげ、成果を出してもらいたいという考えがあるようです。

人件費を削減したい

役職に就いている人というのは役職に応じた手当を受けられますよね。

そのため、総じて年収が高い傾向にあります。

シニア社員に役職を退いてもらうことにより、手当などによるコストカットが実現され、人件費も安くできるようです。

ポスト不足の解消

ポスト不足の解消といってもピンとこない人もいるでしょう。

ポスト不足というのは、シニア世代が任命される傾向がある「幹部職の停滞問題」とも言われています。

つまり、社内幹部職メンバーが長い間固定化されてしまい、中堅や若手社員へのチャンスが訪れないまま出世できない状態が続くという問題です。

ポスト不足問題では、中堅や若手社員が、シニアの幹部職たちによって出世を押さえつけられている状態を解消することが目的です。

企業としては役職定年を制度化することにより、中堅・若手社員が幹部職に就く道を広げられると判断しています。

シニア世代のキャリアシフトを促す

かつては定年とされていた60歳以上のシニア社員が現役で会社に属している姿が増えているように、現代では65歳までのシニア社員が働く場所を確保できるように義務付けられています。

また、2021年からは企業努力として70歳を定年とすることを政府が定めたことは、記憶に新しいかもしれません。

役職定年を設けることにより、

  • 再雇用制度を利用するのか
  • 定年退職して第二のキャリアを自身で歩んでもらうのか

を早いうちから自主的に設計させようと企業側が静かに促していると言っても良いでしょう。

なぜシニア世代が役職定年でモチベーションややる気をなくすのか?4つの理由

独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の資料内で掲載されたアンケートによると、役職定年を迎えた人の中で、役職を降りたあとに仕事に対する意欲が「下がった」と答えた人は59.2%であることが判明しています。

さらに「会社に尽くそうとする意欲も下がった」と答えた人が同数の59.2%でした。

役職定年を迎えたことにより、半数以上の人たちが仕事へのモチベーションややる気の低下が生じているのです。

人によって理由はさまざまあるかもしれませんが、仕事に対する意欲や会社へ尽くす意欲が低下する主な理由は以下が考えられます。

  • 年収が下がる
  • 頼られない辛さを感じやすい
  • 自分より上司が年下
  • 役職定年後に与えられた業務では自分の経験・知識を活かせない

詳しく見てみましょう。

年収が下がる

役職定年を迎えることで、目に見えて年収が下がっていること明らかになってしまうことが挙げられます。

役職定年後は与えられる仕事が軽度になる傾向があるため、今までもらっていたであろう役職手当だけでなく、人によっては役職の業務遂行時における残業代も発生しません。

また、賞与も無くなる場合も考えられるため、役職定年前と後での年収ギャップにショックを受けるシニア世代も少なくないと考えられます。

頼られない辛さを感じやすい

役職があるということは、会社内でもそれなりの責任とポジションだった可能性があります

よね。

役職定年により責任とポジションがなくなってしまうことにより「もう自分は長年勤めて来た会社から頼られないんだ」というネガティブな気持ちになってしまうことも、やる気低下の要因にあるようです。

また、役職がなくなることで人事考課や賞与もなくなるため「期待されていない」と思ってしまうケースも見られます。

会社のために数十年間、自身の知見やキャリアを活かして働いてきたシニア世代にとって、頼られない辛さというものは計り知れないものなのではないでしょうか。

上司が自分より年下

人間関係が原因でやる気がなくなるケースも考えられます。

役職定年により、自身の部下が上司になることもあるでしょう。

プライドが高い人の場合、部下が年下であることによりプライドを傷つけられた感じがするだけでなく、居心地が悪くなるケースも……。

逆に、自身の上司だった人物を部下として指示しなければならなくなった元部下との関係がぎくしゃくする、と言うこともあるようです。

自分の知識や経験が活かせない

役職定年後の業務の中には「社員の補助・応援」というものがありますが、社員の補助や応援という業務を任されている役職定年後の人ほど、仕事に対してやる気なくしていることも同アンケート内で判明しています。

数十年間、会社のために働いてきたシニア世代は「自分でないとできない」ということが多くあるでしょう。

しかし、役職定年後に誰でもできそうなポジションになってしまうということもあり、仕事に対してのやりがいを失ってしまう可能性があります。

中には、全く別の分野を扱う部署へ配属され新しいことを覚えなければならないというケースもあるようです。

自身の培った経験や知識を活かせないというストレスは、シニア世代のモチベーション低下に繋がると言えます。

役職定年を迎えてもモチベーションを保つためにまず考えるべきこと

定年退職によってこれまでと異なる仕事を任されてしまったり、年収が明らかに下がってしまったりなど、モチベーションが下がる原因は多く考えられます。

しかし見方を変えると、定年退職は数年後に訪れるリタイア後に歩む人生を考えた準備期間だと言えるのではないでしょうか。

定年後の自分を見越して動くためにも、モチベーションを下げないことが大切ですが、以下のことを考えながら実行していくことが大切だと言えます。

  • 研修に参加してヒントを得る
  • 専門領域に関する資格を取得しておく
  • 社外でできる仕事を模索する

詳しくご紹介します。

研修に参加してみる

「定年後のキャリアデザイン研修」など、定年後の人生を見据えた研修を受けてみるという方法が挙げられます。

シニア向けの研修は、社内で行っているものや外部で行っているものなどがあるので、自身の興味の持てそうな研修に率先して参加してみましょう。

目の前の業務以外にも新しい考え方や価値観が知れるだけでなく、同じ悩みを抱える定年退職世代の人と情報交換できる可能性もあるかもしれません。

専門領域の資格を取得する

専門職など専門領域での知識が必要な仕事をしているという場合は、先を見越して専門領域に関連する資格取得もおすすめです。

資格があることにより、定年後を迎えた後でも自身の経験・知識をフル活用できそうな仕事を紹介してもらえるかもしれません。

社外でできる仕事を模索

会社の外を飛び出して「個人事業主(フリーランス)」として社外でできそうな仕事を模索することもおすすめです。

最近では、クラウドソーシングサービスをはじめとするお仕事マッチングサービスなどが発達し、未経験者でも副業しやすい環境が整っています。

役職定年でできた時間を有効活用しながら副業を入り口に、定年後も会社外でできそうな仕事を探せますよ!

専門領域や得意を活かすなら実務型顧問がおすすめ

専門領域や得意分野を定年後も活かして活躍したいシニア世代には、実務型顧問という働き方もおすすめです。

実務型顧問とは、専門領域を持った人が個人事業主として第三者の立場から企業のプロジェクトをサポートするという仕事のことを指します。

現場で直接指導をしたり実務に携わったりすることで、役職として培ったスキルや知見をいかして社外の人を助けられることから、定年後も第一線で働きたいと考えるシニア層の働き方として注目を集めています。

社内では当たり前だったスキルも、社外からすれば貴重です。

実務型顧問は、派遣登録サービスを利用することで副業からでもスタートできるため、気になる方は役職退職後に準備し、目指すと良いでしょう。

まとめ

これまで長い間、会社の前線でバリバリ働いたからこそ、役職がつきます。

役職定年のある企業の場合、これまでバリバリ働いたにもかかわらず自分が会社に見捨てられたという気持ちになりやすいもの。

これまで上がってきたキャリアの階段を突然降りなければならないことから「自分には価値がないんだ」とやる気が下がってしまいがちです。

新しく与えられた仕事へのモチベーションを保ちながら定年を迎えるためにも、役職定年後から将来に向けてできるところから取り組むことが大切なのではないでしょうか。

定年後のキャリアに関する研修や資格取得に勤しむことも方法として挙げられますが、これまで得たスキルを活かす仕事の中に実務型顧問という働き方もあるので検討してみるのも良いかもしれません。

役職定年は会社員としての定年を迎えるための準備期間。

定年後にできることの選択肢を増やすことにより、今までに見えなかった新しい世界が見えるかもしれませんよ!