顧問エージェント厳選5社!高いピンハネと放置はイヤだから

「顧問」といえば、企業の役員クラスが定年後に就く、顔役というイメージが浮かびますが、近年、新しい職務として注目を集めているのが「実務型顧問」です。

普通の会社員として培ってきた、これまでのキャリア・知識・スキル・ノウハウを活かし、新たな企業の経営上の課題に対する、助言・指導・実務に取り組みます。「それなら、自分も顧問として働けるかもしれない」と思いませんか?

そのためには、顧問人材紹介サービスに特化した「エージェント」に登録することが、もっとも適切といえます。その理由は、自分に合う就業案件に、スピーディにつながる可能性が高いからです。この記事では、どのようなエージェントがあり、おすすめ会社はどこなのか?また、顧問エージェント業界の問題点も交えて紹介していきます。

エージェントは本人に代わって取引・契約する代理人

エージェントとは、本人から代理権が及ぶ範囲における委任を受け、代理人として、取引や契約など民法上の手続きをおこなう者を指します。法人経営している場合、正しい英訳としては「エージェンシー」ですが、日本では一般的にエージェントとよんでいます。

高い経験値と実績を持つ、顧問職のエキスパート

ここで、一般社団法人 プロフェッショナル顧問協会 代表理事 齋藤 利勝 氏 著2018(平成30)年6月初版「あなたのキャリアをお金に変える!「顧問」という新しい働き方」を取り上げてみます。

同氏の2018年時点での顧問契約は約30社、ほとんどが直接雇用で、お世話になったエージェントを介した契約も2件との記載がありました。顧問として携わった企業は、140社以上というまぎれもない顧問のプロフェッショナルであり、エキスパートです。

エージェントを介して、顧問として働き始めるまでのフロー

同著書の記載に基づき、エージェントを活用して顧問として働き始めるまでの、12段階を説明します。

  1. 顧問エージェントに登録
  2. 登録者のキャリアやスキルが、企業の顧問求人案件に合致するかどうかを、エージェントが判断
  3. エージェントから登録者にオファー
  4. 登録者が契約内容や報酬について承諾
  5. エージェントが企業へ「貴社の顧問求人に合うと思われる登録者情報」を伝える
  6. 企業が受諾
  7. 登録者と企業の面談 ※エージェント同行の有無は会社や案件により異なる
  8. 登録者と企業の双方が合意
  9. 企業とエージェントが「コンサルティング契約」を結び、企業がエージェントに紹介手数料を支払う
  10. 登録者が個人事業主として税務署に開業届を提出
  11. 登録者とエージェントが「業務委託契約」を結ぶ
  12. 顧問として当該企業で業務開始

【注釈】2021(令和3)年、現在では

「2」⇒登録者側でも公開案件を検索・閲覧して、エントリーできるWebサービスも参入

「9」⇒企業とエージェント間のコンサルティング契約締結はない

「11」⇒「企業と顧問が業務委託・委任契約を結ぶ」というエージェントも多々見られる

「ずいぶんと手間がかかるんだな…」。と、思ったかもしれません。しかし、難しいことは何ひとつなく、心強いのが、各フローや手続きにおいても、豊富な経験を持つエージェントのサポートです。顧問は、複数企業と契約を結べるため、最初は戸惑うことがあっても、2社・3社と契約を増やしていくごとに慣れていきます。

顧問エージェントを活用するメリット・デメリット

次に、顧問エージェントを活用するメリット3点について記載します。

顧問就活における無料サポートサービス

職務経歴書の添削・企業面談の日程調整・面談時同行など、すべて無料で受けられます。

エージェントという第三者の見極めにより、事前にミスマッチを防げる

さまざまな経営課題解決を求める企業と顧問求職者、双方が良い面だけをアピールしてくることは、世の習い。そのため、お互いに事実以上の期待値を持ってしまい、「こんなはずではなかった!」というミスマッチが発生。その点、企業側の現場実態と求職者側の実績を、よく把握している第三者であるエージェントの介在があれば、事前に適切なマッチングかどうかを判断してくれます。

最適な条件交渉を提示してもらえる

経営力を高め、業績拡大を目標とする企業としては、高額な顧問報酬を支払うという契約を結べば、相応の費用対効果を想定することは当然です。

そこで、高報酬というプレッシャーを抱えながら働くよりも、実力が評価されるごとに報酬も徐々にアップしていくという選択肢があります。企業と顧問の間に立って、適正な条件交渉や報酬対価の落としどころを、よく見極められるのが豊富な経験を持つエージェントです。

デメリットは、エージェントによるマージン徴収 

最大のデメリットとしては、エージェントが持つ求人市場を利用して顧問職に就く以上、企業が支払う報酬総額からマージン(仲介手数料)が差し引かれた、手取り額になってしまうことです。「顧問本人:エージェント」の割合は、「3:7」「5:5」「7:3」など、各会社や案件により異なります。

顧問人材エージェント業界に、浮上しつつある問題3 

さて、ここで、顧問本人が受け取る報酬割合の比率の違いの差に、戸惑いを覚えませんでしたか?実は、昨今の顧問人材紹介業界の水面下において、3つの大きな問題があります。ひとつめは、エージェントの顧問料金体系の在り方です。業界最大手といわれる某顧問エージェントの規定では、顧問導入契約を紹介サービス手数料と銘打って、税込み110万円と明示されています。

果たして、それだけの対費用効果が出せる顧問なのかどうか、エージェントへの確かな信頼性においても、ほとんどの企業が即時判断はできないでしょう。資金余力があり、経営基盤も確かで、年商十数億を超える東証一部上場などの大規模な優良企業であれば、トライする余地もあるかもしれません。しかし、中小規模や、ベンチャー企業にとっては、その導入費用だけでも、経営収支に影響を与えかねる高いハードルです。

顧問として働く年間報酬の35%が、徴収される事実例

ふたつめは、各案件により、業務工程は企業と顧問の間で決めるとされ、顧問による助言や指導に対する年間報酬の総額から35%を、月額換算で徴収するという顧問エージェント規定も実際にあることです。具体的に、齊藤氏の著書の平均値を参考に、企業の経営の助言や指導を、月2回出社するという規定で、企業から35万円の報酬があったとすると、顧問が受け取る報酬は月額22万7,500円になってしまいます。

顧問エージェント契約は、ミスマッチなどが生じない限り、一般的に6か月ごとに更新されることを前提に換算すると、エージェントの懐に入る年額は147万円です。もちろん紹介元企業として、それらが経営を成り立たせる財源となることや、アフターフォローの対応範囲が各人各様、異なることも理解できますが、やはり「まるもうけ感」はぬぐえません。

エージェントによる、高いピンハネ横行問題

3つめは、顧問人材業が参入し始めた頃の料金体系を、時世に見合わせることもなく、そのまま引き継ぐ古い体質のエージェントの存在です。その結果、極めて多額なピンハネが横行し、顧問に渡る金額が30%ほどというケースも多々あります。

現場で、経営改善への期待というプレッシャーが重くのしかかる顧問本人へ、企業上層部としては「ぜひとも、頑張ってほしい」という想いを込めて、高い報酬を支払うのが道理です。そのため、実際に労働者である顧問への報酬に、大きな搾取が生じている実態に対して、企業・顧問の双方からのエージェントに対する、不満の声が後を絶たないという問題に発展しています。

おすすめ!顧問エージェント厳選5社 

これまでを踏まえ、顧問として働く第1歩として「どのエージェントに登録したらいいのか?」を知りたいところではないでしょうか。そこで、再度、同著書を参考にポイントを記載します。

  • 2018年時点で、顧問人材会社は20社ほどあるが、企業への営業活動力が弱いところもある。
  • エージェントを介して顧問として働き始めても、その後は顧問本人に任せきりで、紹介元として 企業のフォローを怠っている結果、契約が長続きしないことが散見される。
  • 適切な顧問と企業をマッチングできる会社は数社のみ。

ということでした。そこに、今回、独自にリサーチした結果も合わせて、これから顧問を目指す人にも、既に顧問として働いている人にも、有益な情報となればと思い厳選して紹介していきます。

信頼できる安心・安定エージェント3選

顧問名鑑

株式会社顧問名鑑による2009(平成21)年創設の、もっとも歴史の長い顧問エージェントであり、グループ設立は1997(平成9)年。企業・顧問・エージェント専門担当者による、三位一体体制を掲げ、経営課題改善や目標到達に立ち向かいます。その名のとおり、顧問登録者の多くが、上場企業の取締役・役員層・部長職など上層部経験者です。2021年8月では、24,000名以上の登録者と、9,500社以上の中堅企業やベンチャー企業のサポート実績を誇ります。

公式サイトURL:https://komon.co.jp/

顧問名鑑とは?特徴やメリットを解説│顧問として働けるサービス

パソナ顧問ネットワーク

総合人材サービス創業40年以上の歴史を持つ、大手株式会社パソナグループの傘下、株式会社パソナJOB HUBが運営。2019年に創設し、登録顧問者数は6,500名以上、社外取締役・社外監査役紹介をはじめとした、さまざまなニーズに対応すると公式サイトに掲げられています。社外取締役の場合に限りますが、就任まで一切手数料が発生しない点も、企業にとっては利用しやすい、良心的なサービス提供と言えるでしょう。

公式サイトURL:https://www.pasona-komon.co.jp/

【パソナ】顧問ネットワークはどんなサービス?使い方も解説

サーキュレーション

株式会社サーキュレーションにより2014(平成26)年に創設。その広範囲にわたる経営サポート実績が評価され、急成長を遂げています。専用プラットフォームのデータベースを活用する特徴を持ち、15,000人以上の、プロフェッショナルな人材が登録。特に顧問に特化したなどの記載は見当たりませんが、同等の内容と捉えられるのは、プロシェアリングコンサルティングと名付けられたサービスです。

公式サイトURL:https://circu.co.jp/

マージン0円!顧問報酬全額を手にできるエージェント2社

顧問バンク

注目に値するのが、なんとマージン0円!企業からの顧問報酬全額を受け取ることが可能。登録者は7,000人以上で、企業も顧問も必要に応じて、求める情報をネットで検索できるプラットフォームサービスというビジネスモデル。そこで、「サポート体制が薄くなるのでは?」という疑問が生じますが、

経営者に選ばれて顧問マッチングサービスNo.1

●経営者が選ぶ顧問サービス・即戦力の顧問に出会える・コストパフォーマンス すべてがNo.1 日本マーケティングリサーチ機構調べ(調査概要:2020年4月期ブランドのイメージ調査による)

という成果をあげています。顧問エージェント業界において、画期的な新風を呼び込んだとも言え、期待されるのが、さらなる登録者の増大と今後の事業拡大です。

公式サイトURL:https://common-bank.com/

KENJINS

2014(平成26)年プライドワークス株式会社により、自社メディア”顧問のチカラ”日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を運営しています。最大のメリットは、こちらもマージンが0円。サイト内には、顧問として働く指南書として、こまやかな部分までほり下げた優良な記事も多く、充実しています。

公式サイトURL:https://kenjins.jp/

なぜマージン0円で、人材紹介エージェント経営が成り立つのか?

さて、ここで、ひとつの疑問が浮かびませんか?多くの顧問エージェントは、企業からの報酬総額のなかから、紹介した顧問が稼ぐ月額報酬のマージンを経営収益として、まずは、営業やバックオフィスの人件費に充てるはずです。

また、顧問として働きたい本人は、企業に貢献し、自分のキャリアを確かなものにするために、懸命になって、企業の経営課題に取り組みます。同条件の、業務内容・出社日数・報酬総額において、

  • [a]エージェント:エージェントの取り分が35%、自分は65%
  • [b]エージェント:マージン0円。報酬全額が顧問本人に入る

どちらのエージェントに登録したいと考えるでしょう。当然ながら、[b]タイプに登録したいと思うはずです。

新たなWin-Win顧問エージェント時代の到来 

また、一般的に、どんな条件だろうが、そのエージェントにはお世話になってきて、なじみが深いなどの特別な理由がない限り、過去に

[a]タイプ登録者も [b]タイプへ流出する

可能性は、極めて高いでしょう。

人材紹介サービスは、「登録者をより多く担保して、なんぼ」という業界です。結果的に、多くのなかから優秀な精鋭顧問をよりすぐり、企業に対する顧客満足度に応える範囲の拡大につながります。

「いやぁ、古門社長。あのエージェントはいいよ!実に真面目に取り組んでくれる顧問を紹介してくれて、販路開拓の提案によって、売上も順調に伸びて本当に感謝してるんだ。こちらが払う報酬すべてを受け取ってもらっているようで、遠慮もなく次々に相談できるよ。」

もし、このような役員クラスの話が、企業外部の経営層人脈に流れたら、「じゃあ、うちも考えてみるか!」と、その良いウワサは口コミだけでも広がります。それらをきっかけに、いずれ実績となって企業評価が高まり、インターネットやSNSで広がれば、倍々のスピードで急成長です。

そうしたエージェントには、次第に非公開・匿名性求人も集まってくるもの。顧問導入時にやや高めの紹介手数料を、企業が負担することになったとしても、マージン0円でも多くのヒットを数打てば、収支はトントンです。そのような、信頼性が構築されている、というステージを目標として邁進しているのではないでしょうか。

顧問紹介エージェントとの、上手な付き合い方

顧問エージェントについて紹介してきました。「顧問名鑑?自分には到底、おそれ多く縁がないこと」と、いう思いは、心配ご無用です。話は、少子高齢化を背景に、政府が高年齢者雇用対策推進に対して、経験値の高い人材ニーズの需要に注目した、顧問人材サービス業が開始された頃にさかのぼります。

エージェントとしては、企業が求める人物像は、上場大企業の代表取締役・役員・統括部長クラス経歴だろうと仮定していました。ところが、実際に門戸を開いてみると、多くの企業が求めていたのは、単なる拍のついた「お偉いさん」ではなく、現場で即戦力になる実務経験者こそ、だったからです。

基本的にエージェントは、自社に登録して自社の経営の一端を担う、人材を大切に考えてくれます。そうでなければ、登録者は去りゆくのみ。企業で働くうえで、困ったことや悩みが生じたら、解決への軌道修正の相談を「速やかに」おこない「適切なサポートを受ける」ことが極めて重要。それは、顧問というキャリアを歩み始める、自分のためでもあるからです。