高いスキルや専門知識を持った顧問と、経営課題を抱えている企業が締結する「顧問契約」。
近年、顧問と契約を結んで早期課題解決に繋げている企業が続々と増えています。
そんな顧問契約ですが、「他の契約とどう違うの?」「顧問契約で気をつけるべきことはある?」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
今回は、顧問契約の概要や契約形態、メリット・デメリットなどを徹底解説します。
また、事前に知っておくべきトラブル事例や注意事項についてもお伝えしますので、今から顧問と契約を結ぼうとしている方は是非参考にしてくださいね。
顧問契約とは?業務委託契約との違い
顧問契約とは、専門知識や特定のスキル・経験を持ったプロ人材(=顧問)に、何らかの経営課題を抱えた企業がアドバイスを貰うことを目的として結ぶ契約のことです。
企業が顧問と契約を結んで一緒にプロジェクトを進めていくことで、自社が抱えている問題を早期に解決できるのが最大の特長です。
顧問契約と業務委託契約の違い
顧問契約とよく同一視されがちなのが、業務委託契約です。
業務委託契約とはプロジェクト単位での事務や業務を社外の第三者に委託することを目的として結ばれる契約です。
また、業務委託契約については対象者に特定の専門知識やスキルがなくても契約を締結することができます。
業務を外部に委託するという意味では顧問契約は業務委託契約の一種といえますが、契約を結ぶ目的と対象が異なります。
正社員雇用と比べた場合のメリットとデメリット
顧問契約は、経営課題の早期解決以外にも様々なメリットがあります。
顧問と契約することで正社員をわざわざ雇用する必要がなくなり、人材育成にかかるコストを削減できるため、費用対効果が高くなるのも大きな特長です。
また、数ヶ月単位での契約も可能なため、優先的に解決したい経営課題のみ解決へのアプローチとしても有効です。
一方で、契約には相応のコストがかかったり、自社に最適な顧問がなかなか見つからずコア業務に集中できない可能性があるといったデメリットもあるため、それらを踏まえて顧問契約を検討するようにしましょう。
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顧問契約の3つの契約形態
顧問契約には、大きく3つの契約形態が存在します。
- 委任契約
- 準委任契約
- 請負契約
それぞれの特徴を詳しく説明します。
委任契約
依頼側(=企業)が、受託側に仕事を委託する契約です。
委任契約は法律行為を委託する契約であり、顧問に企業の経営課題解決や業務改善などを委託する場合も含まれます。
また、受託側は専門知識を持ったプロ(弁護士、会計士、社労士、税理士、コンサルタントなど)である場合が一般的で、業務の履行に対して報酬が支払われます。
【具体例】
- 弁護士に法律問題の対応を委託する
- 税理士に税務申告や会計業務の代行を依頼する
準委任契約
委任契約と同様、こちらも業務の履行に対して報酬の支払いが発生します。
ただし、法律行為以外の仕事を受託側に依頼する点で委任契約と若干異なります。
【具体例】
- コンサルタントに経営支援や戦略アドバイスを依頼する
- Webサイトの運営やメンテナンスをサイト運営代行会社に依頼する
請負契約
依頼側からの依頼を受託側が完成させるものとして締結される契約です。
委任契約や準委任契約と異なり、成果物の完成&納品に対して報酬が支払われます。
【具体例】
- システム会社が特定のソフトウェアやシステムの開発を請け負う
- 製造会社が特定の製品や商品の製造を請け負う
顧問契約で気をつけることは?
「せっかく顧問契約を結んだけれど、こんなはずじゃなかった・・・」といったような事態になるのは避けたいですよね。
ここでは、実際に起こり得るトラブル事例や注意事項について詳しくお伝えします。
顧問契約後のリスクを回避するためにも、事前に確認しておきましょう。
よくあるトラブル
顧問契約時に起こりがちな、よくあるトラブル事例を3つご紹介します。
その①顧問の専門性と自社のニーズがマッチしなかった
最もよくあるのが、顧問が持っている専門知識やスキル・経験が、自社の経営課題とあまりマッチしなかったという事例です。
いくら色々な専門知識やスキルを持っていても、抱えている経営課題や自社と同様の業界に強い人材でなければ意味がありません。
いつまで経っても課題解決できないどころか、時間やコストの浪費に繋がるだけとなってしまいます。
「とにかく実績が凄そうだから」「なんか色々な知識を持っていそうだから」と、あまり自社の課題との関連性を確認せずに顧問と契約してしまうと、思わぬ失敗に繋がるので要注意です。
その②業務時間・内容のすり合わせがきちんと出来ていなかった
顧問契約の契約内容については、場合によっては弁護士や行政書士などの専門家に依頼し、後述する顧問契約書へ記載します。
報酬や契約期間などは詳細にすり合わせを行うかと思いますが、意外と見落としがちなのが業務時間についての取り決めです。
例えば顧問に毎月固定の顧問料を支払う契約の場合、一般的には月に人/日という工数単位での契約が多いです。
その場合、月に発生する打ち合わせ回数を含めての工数なのか?または作業時間のみの工数なのかで、双方の認識を合わせておく必要があります。
ここで曖昧なまま契約を結んでしまうと、後々大変な事態になってしまいます。
その③顧問の役割や作業範囲を事前に把握していなかった
「顧問契約後は、顧問に全て任せておけば上手くいくだろう」と考えてはいませんか?
そのような考えを持っていると、大きな失敗に繋がってしまうことも。
顧問はあくまで「アドバイザー」という立場です。
自分が持っている専門知識や経験をもとに課題解決に必要なアドバイスはしてくれますが、主体となって実務を行うのは課題を抱えている企業の担当者です。
この事をちゃんと把握出来ておらず、企業側が顧問を何でもやってくれる作業者として認識していると、企業と顧問との関係性が崩れて思ったようにプロジェクトが進まないという事態になりかねません。
顧問契約時の注意事項
よくあるトラブル事例を踏まえ、顧問契約時に注意しておくべきは下記の3点です。
- 自社の課題を解決してくれそうな専門性・スキル・経験のある顧問か
- 業務時間や業務内容はきちんとすり合わせができているか
- アドバイザーである顧問と企業との関係性が認識できているか
これらを抑えておくことで、起こり得るトラブルを回避できる可能性が高まります。
事前にしっかり確認した上で顧問契約に進むようにしましょう。
顧問契約書とは?チェックするポイント
顧問契約書とは、その名の通り顧問契約を結ぶ際に使用される契約書のことです。
顧問と企業が直接契約する場合は、顧問側の専門家がひな形を用意しており企業側がチェックし内容をすり合わせる、というのが一般的です。
また、顧問紹介サービスなどのマッチングサービスを利用して顧問契約する場合は、サービスを運営している顧問派遣会社が書式を用意し、顧問と企業で内容を確認し気になった点を協議する、という流れになります。
顧問契約書でチェックすべき点
顧問契約書で事前にチェックしておくべき主な内容を確認しておきましょう。
具体的な業務内容と範囲
顧問がどのようなタスクや業務を行うのかを明確に記載しておくことが重要です。
業務範囲が曖昧な場合、後々トラブルにつながる可能性が高くなるため、具体的な内容を記載するようにしましょう。
報酬と支払条件
報酬(=顧問料)の金額、支払方法、支払スケジュールについて記載します。
顧問料以外に発生しそうな費用の取り決めや、固定報酬か成果報酬かなどの報酬の形態についてもここに明記しましょう。
さらに、支払いが遅れた場合のペナルティなども記載しておきましょう。
契約期間
顧問契約の期間を記載する必要があります。
また、契約終了時の自動更新の有無や契約期間の延長方法も併せて記載しましょう。
契約解除について
契約を解除する場合の条件の記載も必須です。
どういった理由で契約が解除できるのか、また解約に伴うペナルティや違約金についても記載しておきましょう。
さらに、解約後に未払いの顧問料があった場合の清算方法についても明記しておくのがおすすめです。
顧問契約の費用・報酬相場は?
契約内容によって、顧問へ支払う顧問料は様々です。
業務内容でも大きく異なってきますが、外部顧問と契約する場合は下記がおおよその相場となります。
報酬形態 | 顧問料 |
---|---|
固定契約 | 20~50万円/月 |
時間契約 | 3~10万円/月 |
成果報酬 | 利益に対する10~30% |
顧問紹介サービスを通しての契約の場合、上記の顧問料に顧問派遣会社への手数料が上乗せされます。
また、その他にサービスへの入会金や月額利用料がかかる場合もあります。
まとめ
どの契約にも言えることですが、顧問契約においても事前に契約内容の確認をきちんと行うことが重要です。
契約後のトラブルを未然に防ぐためにも、契約内容のすり合わせはしっかりするようにしましょう。
また、顧問を選んでいる最中の方は、検討中の顧問と自社のニーズがマッチしているかも改めて確認してみてくださいね。
もし「まだ自社に合った顧問が見つかっていない・・・」という場合は、下記の記事を読んでみてはいかがでしょうか。
貴社に最適な顧問探しのお役に立てれば幸いです。
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