高齢化が進んでいる日本ですが、企業もその影響を受けています。組織の見直しを図るために早期退職者募集を検討する企業も増えており、2021年の早期退職者募集人数は合計で1万人を超えました。そのため早期退職という言葉を身近に感じるようになった人も多いのではないでしょうか。
早期退職に応募した場合、自己都合になるのか会社都合になるのか、それによってどのような違いがあるのか疑問に思う人もいると思います。今回は早期退職に応募した場合の扱いや違いについて解説します。早期退職後の選択肢についても解説しているので、早期退職を検討している人はぜひ最後までご覧ください。
早期退職は会社都合?自己都合?
早期退職とは、その名の通り「定年を迎える前に退職」することです。早期退職を募集した上場企業は、2020年から連続で70社を超えました。この早期退職には2種類あります。通常の定年時よりも好待遇で退職できる可能性がありますが、どちらを選択するかによって扱いが異なる場合があります。ここでは2つの早期退職の違いについて解説します。
早期退職制度であれば会社都合
早期退職制度とは、業績悪化や人員の再構成を理由に企業が退職者を募集する制度です。リストラのような強制力はなく、希望した従業員が制度を利用して退職できます。すべての社員を対象とする企業は少なく「50歳以上」や「勤続30年以上」などの条件を設けて募集するのが一般的です。
この制度を利用した場合、会社の募集に応じる形になるため「会社都合」の退職となります。退職金も通常の退職金に割増分を乗せて支払われることが多く、通常の退職よりも優遇された条件で退職できる可能性が高いでしょう。
選択定年制であれば自己都合
選択定年制とは、退職する年齢を自分で決められる制度です。従業員は、60歳から65歳までの間で自由に選択できます。早期退職制度と同様、退職金などの面で優遇されることが多いようです。定年のタイミングを自分で決められるため、老後のライフプランを立てやすいのがメリットですが、選択定年制の場合は「自己都合」の退職として扱われます。
ただし会社によっては従業員のその後を考え、会社都合扱いにしてくれるケースもあるようです。
会社都合と自己都合では失業保険に大きな違いが出る!
会社都合と自己都合では、失業保険を受け取るまでの期間や受け取れる期間などに大きな違いがあります。ここではそれぞれの受給要件や日数について解説します。
会社都合と自己都合の受給期間について
会社都合と自己都合の場合、まず失業保険を受け取れるまでの日数に大きな違いがあります。会社都合の場合は失業保険申請後7日間の待機期間のみで受け取れます。一方、自己都合の場合は7日間に加えて3か月間の待機期間が必要です。
また受給できる日数も会社都合と自己都合では大きく異なります。受給期間については下記の通りです。
【会社都合】
被保険者であった期間/区分 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 (※1) | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 (※1) | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※1 受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合の日数
【自己都合】
被保険者であった期間/区分 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
全年齢 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合と自己都合の受給金額について
受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」と呼びます。この金額は退職までの直近6か月の毎月決まって支払われた給与で決まり、賞与は計算に入りません。会社都合も自己都合も計算方法は同じです。基本手当日額は次の計算式で算出されます。
退職日の直前6か月の給与の合計÷180 = 賃金日額
上記で算出した賃金日額に年齢に応じた率(59歳までは50%から80%、60歳から64歳の場合は45%から80%)をかけた金額が基本手当日額です。1日の支給金額には上限があり、令和3年8月1日現在の上限金額は以下のようになっています。
30歳未満 | 6,760円 |
30歳以上45歳未満 | 7,510円 |
45歳以上60歳未満 | 8,265円 |
60歳以上65歳未満 | 7,096円 |
受給金額に関しては、退職時の扱いよりも直前の給与が大きく影響します。ただし会社都合のほうがもらえる期間が長いので、総合的に会社都合のほうが多くもらえる可能性は高いでしょう。
もし早期退職者募集の対象になったら?
早期退職者募集といえば55歳以上が対象となることが多く、若い世代にはあまり関係がない話でした。しかし近年では30代・40代の世代も対象となることがあります。これからはいつ対象となってもおかしくない時代です。ここではもし早期退職者募集の対象になった場合の選択肢について解説します。
自分の好きなことをするチャンス
早期退職者募集の対象に入ってしまった場合、ショックを受けることがあるかもしれません。しかし考え方を変えれば好きなことに挑戦できるチャンスでもあります。もし今の職場に不満があれば、より好待遇の企業への転職を狙うのもよいでしょう。やりたい仕事へ転職するチャンスでもあります。
これまでに培ってきたノウハウがあれば、思いきって独立や起業をするのもよいでしょう。組織に縛られず自分のペースで仕事を進められ、軌道に乗れば大きく稼ぐチャンスもあります。ここまで休日返上で働いてきた人ならば、次に向けてしばらくのんびりするのもよいかもしれません。
まとまった資金があるならFIREも目指せる
これまでにコツコツと貯金し、ある程度の資産があればFIRE(ファイア)も可能です。FIREとは「経済的に自立して早期リタイアする」ことを意味する言葉ですが、このFIREを目指す人が増えています。通常リタイアの場合、持っている貯金を取り崩していきながら生活するスタイルですが、それだと貯金が減っていく不安があります。
しかしFIREは資産を運用して得た利益で生活するので、資産を減らすことなく生活できるのです。日本の場合、年間支出の17倍から20倍あれば目指せると言われています。早期退職の場合、退職金を多くもらえるケースも多いので、ある程度の資産が確保できそうな人はFIREを目指してみてはいかがでしょうか。
早期退職募集に応じないことも一つの選択肢
早期退職制度はあくまでも募集です。リストラのような強制力はないため、応じなくても問題はありません。会社都合でまとまったお金が手に入るとはいえ、十分な金額とは限らないでしょう。
転職しようにも50代を超えていた場合、厳しいことが予想されます。今の会社で定年までコツコツと働くのもよいでしょう。家族の生活にも影響を及ぼす可能性が高いので、家族とも十分に話して結論を出すことが大切です。
早期退職後も働くなら実務型顧問がおすすめ!
早期退職後の職選びに迷っているなら、実務型顧問はいかがでしょうか。これまで培ってきた専門スキルや知識を活かして、企業が抱えている課題のサポートを行なうのが実務型顧問です。組織に縛られることなく自分のペースで働け、年齢にも制限はないので生涯現役で働けます。そのため早期退職後や定年後の50代・60代以降の世代に注目されているのです。
実務型顧問の需要は増えており、活躍できる業界は多岐にわたります。成果を出せば報酬アップも期待でき、月に50万円以上稼ぐ人もいます。顧問紹介サービスに登録することで案件を紹介してもらえるので、興味がある人は登録してみてはいかがでしょうか。
実務型顧問の具体的な流れについては、こちらの記事も参考に。
【現役顧問が徹底解説】顧問派遣サービス、登録から案件受注までこう進む!
まとめ
早期退職はどのような扱いになるのか、会社都合と自己都合ではどのような違いがあるのかについて解説しました。早期退職には2種類あり、早期退職制度を利用した場合は会社都合の退職となります。選択定年制の場合は自己都合となるので注意しましょう。一番大きな違いは失業保険で、自己都合に比べて失業保険を受け取れるまでの期間が短く、金額も総合的に多くもらえる可能性が高いです。
とはいえ、早期退職者募集の対象になることはショックかもしれません。しかし自分のやりたいことに挑戦できるチャンスでもあります。資産があればFIREも目指せるでしょう。いつ対象となっても良いように今からコツコツ準備しておくのがおすすめです。
また早期退職後も生涯現役で働きたいならば、実務型顧問はいかがでしょうか。これまでのノウハウを活かした働き方で、会社員時代を上回る報酬を目指すことも可能です。派遣サービスに登録することで案件を紹介してもらえます。働き方の選択肢として視野に入れてみてはいかがでしょうか。