早期退職とはどのような制度?失敗しないためのポイントも解説

50代に差し掛かると、今後の働き方や生き方について考える機会が増えるのではないでしょうか。そのきっかけの一つになることも多いのが早期退職制度。

人によっては「リストラ」「クビ」などを連想し、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。確かにデメリットもありますが、新たなチャレンジをするきっかけになるなどメリットもある制度です。

今回は早期退職制度について詳しく解説します。正しく理解しておくことで、いざというときに納得いく選択ができるでしょう。

早期退職とはどのような制度?

早期退職制度とは具体的にどのような制度なのでしょうか。混同されやすい選択定年制との違いについても解説します。

退職を志願する人を募集する制度

早期退職制度とは、別名「希望退職制度」ともいわれます。その名の通り、通常の定年退職よりも前に退職を志願する人を募集する制度です。会社の業績悪化による人員削減や、将来の事業に向けた人員構成を目的として実施する企業が多い傾向にあります。

もし希望退職者が少ない場合は会社側から打診することもありますが、早く退職してもらう代わりに退職金割り増しや、再就職先斡旋など有利な条件を用意しているのが一般的です。早期退職制度を利用して退職した場合は、会社都合退職として扱われます。

選択定年制との違い

似た制度に選択定年制があります。定年時期をあらかじめ企業側と話し合って決める制度で、早期退職制度と同様に退職金割増などの優遇措置を受けて退職できる制度です。

早期に退職することで優遇措置が受けられるという点では同じですが、選択定年制の場合は自己都合退職となります。自己都合の場合、会社都合に比べて失業保険の受給金額や待機期間にかなりの差が出ます。

早期退職のデメリット

早期退職制度を使う場合、有利な条件で退職できる可能性がありますが、その部分だけを見て決めるのはリスクが高いです。デメリットも理解して、よく考えてから決めましょう。

収入が減る可能性

退職すると毎月安定して貰えていた収入がなくなります。割増された退職金がもらえたとしてもその額が将来の生活費に十分だとは限りません。業績が悪化している企業の場合は、退職金が想定していたより少ない場合もあります。

会社を辞めることで福利厚生もなくなってしまうので、保険料など毎月の負担も増えます。また転職できたとしても新人としてスタートとなることがほとんどなので、これまでと同じだけの給料を貰えるとは限りません。しっかり計画を立てておかないと、ローンや子供の養育費などで頭を悩ませることになるでしょう。

起業する場合も、軌道に乗るまでは退職金や貯金を取り崩す生活となることが多いので、注意が必要です。

次の転職先がすぐ決まるとは限らない

早期退職した場合、多くの人が次の転職先を探すことになると思います。しかし多くの実績を持っていたとしても希望の仕事がすぐに見つかるとは限りません。

早期退職を考え始めた時点でしっかりと準備することが重要です。無職の期間が長くなると受け取れる年金額が減ることもあります。とりあえず辞めてからゆっくり考えようという気持ちでは、後悔することになりかねません。

早期退職のメリット

早期退職はデメリットばかりではありません。次のようなメリットもあります。

  • 自分のキャリアを活かした新しい仕事にチャレンジできる
  • 割増退職金がもらえる場合がある
  • 再就職支援が受けられる場合がある

順番に解説します。

自分のキャリアを活かした新しい仕事にチャレンジできる

「会社で自分の強みが発揮できていない」「やりがいを感じられない」など会社に不満を持っている人は、新しい仕事にチャレンジできるチャンスです。

これを機に自分の得意分野が活かせる仕事に転職を考えてみてはいかがでしょうか。転職は少しでも若いほうが有利ですし、強みを活かせる仕事であれば今よりも好待遇の会社に転職できる可能性もあります。

明確にやりたいことがある人や将来の計画がある人にとって、早期退職は有効な手段といえるでしょう。

割増退職金がもらえる場合がある

企業にもよりますが早期退職の場合、通常の退職金にプラスして支払われることが多くあります。

退職金を使って住宅ローンを完済すれば、返済義務から早く自由になれますし、しっかりとした計画があれば起業資金に使うのもよいでしょう。

自由な時間とまとまったお金が手に入ることは、大きなメリットといえます。

再就職支援が受けられる場合がある

会社によっては就職先の斡旋や書類添削、面接指導など再就職のための支援を行なっている場合もあります。

通常の定年退職時は、そのようなサポートは行なっていないため、すぐに別の会社で働きたいと考えている人にとって心強い味方となるでしょう。

早期退職で失敗しないための3つのポイント

 早期退職で後悔しないために確認しておくべきことがあります。ここでは失敗しないためのポイントを3つ解説します。

セカンドキャリアについてしっかり考えておく

早期退職制度を利用する場合は、セカンドキャリアについてしっかりと考えておきましょう。セカンドキャリア形成を成功させるためには、自分の強みや得意を把握することが大切です。

自分で理解できていなければ、やりたい仕事や転職先も定まらず、面接でも上手くアピールできません。このようなことにならないために早期退職後も働きたいと考えている人は、セカンドキャリアに向けて自分のこれまでの経歴の棚卸を行ない、しっかりと準備しましょう。

十分な貯蓄があるか確認しておく

自分の貯蓄が今後の生活に十分足りるかも確認しておきましょう。退職金が貰えるとはいえ毎月の安定した収入はなくなってしまいます。

公益財団法人生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要とされている最低日常生活費は平均22.1万円という調査結果が出ています。ゆとりある生活を送りたいならもっと必要となるでしょう。

参照:公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」

退職金だけをあてにしていると、思ったより少なかった場合に生活が苦しくなってしまうことも考えられます。

一人で決めない

早期退職は一人で決めずに必ず家族にも相談した上で判断しましょう。家族の理解を得ずに勝手に判断してしまう人もいますが、後でトラブルとなりこれまで築いてきた信頼関係が崩れてしまうリスクもあります。

教育費や車や家のローンの支払いで家族の生活に影響が出る場合もあるので、早期退職を視野に入れたら早めに家族に相談をして今後について一緒に考えるようにしましょう。

早期退職後のセカンドキャリアにおすすめの実務型顧問

早期退職後や50代以降のセカンドキャリア形成に注目されている実務型顧問という働き方があります。実務型顧問とは、これまで培ってきた専門知識やスキルを活かして企業にアドバイスしながら、実務面でもサポートを行なう顧問の事です。

実務型顧問として活動する場合、雇用という形ではなく顧問契約を結ぶことになるので、フルタイムで働く必要もなく自分の得意分野に専念できます。

年々企業からの需要は増えており、顧問と企業をマッチングする紹介サービスや派遣会社も増えています。将来性のある働き方といえるでしょう。

雇用されているわけではないので福利厚生などはありませんが、頑張り次第で会社員時代の給料よりも大きく稼げる可能性があるのも魅力の一つです。また定年制度もないので、自分の働きたい年齢まで働けます。自分のスキルを活かして長く働きたいと考えている人は、選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

実務型顧問については、こちらの記事も参考に。

「実務型顧問」として第二の人生を踏み出す!あなたのスキル経験を強みに

まとめ

早期退職のメリットやデメリット、失敗しないためのポイントについて解説しました。早期退職は、早く退職する代わりに割増退職金や再就職支援など、通常の定年では得られない有利な条件で退職ができる制度です。

しかしメリットだけを見て早期退職してしまうと、思いのほか生活費が足りなくなったり、後悔したりすることにもなりかねません。早期退職を視野に入れたら、転職や生活費についてしっかりと計画を立てましょう。

50代以降のセカンドキャリア形成には実務型顧問という働き方もおすすめです。強みや得意を活かしながら自分のペースで働けて、頑張り次第で大きく稼ぐことも可能です。

企業から需要も増えており、今後さらに活躍の場が広がっていくことが考えられるでしょう。派遣サービスなども増えているので、興味をもったらまずは登録してみてはいかがでしょうか。

派遣サービスについては、こちらの記事も参考に。

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