会社での顧問の立場とは?顧問の役割や仕事内容など徹底解説!

会社において顧問とはどういう立場の役職なのでしょうか?なんとなくの想像はついても、「詳しい立ち位置や仕事内容はよく分からない」という方も多いですよね。

今回は、

  • 会社での顧問の立場
  • 顧問の仕事内容や報酬
  • 顧問になるための契約方法

などについて解説します。

会社の顧問として働いてみたい方、顧問という働き方に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

顧問の立場や責任

まずは、会社における顧問の立場や役割についてご紹介します。

顧問とは?

会社における「顧問」には、働き方や契約方法によっていくつかの種類があります。

  • 会社の役員などが引退後になる「内部顧問」
  • 社外からアドバイザーとして契約する「外部顧問」
  • 外部顧問の中でも、実際の現場に出たり専門知識を持ってアドバイスしたりする「実務型顧問」

主な顧問の種類はこの3つです。

従来は顧問といえば「役員が会社の顔役としてなる内部顧問」が多く、顧問というといまだにそのイメージがあるという方も少なくないでしょう。

ですが今の時代は、外部の専門家や経験豊富な人材に「外部顧問」や「実務型顧問」として会社に関わってもらうケースが増えてきています。

実務型顧問は外部顧問の一種で、現場に出て業務のサポートなどをする顧問です。外部顧問・実務型顧問は社内の人脈から抜擢されることもありますが、近年は顧問派遣サービスやマッチングサービスを通してスキルのある人を採用することも多いです。

顧問の概要や他の役職との違いについては、こちらの記事が参考になります。

企業における顧問ってどんな人?

顧問の役割

顧問の役割は、会社の課題に対してアドバイスしたり、問題解決に向けて社員や役員と一緒になって取り組んだりすることです。

内部顧問・外部顧問・実務型顧問によって具体的な仕事内容は変わってきますが、基本の役割はどれも同じ。会社に対してアドバイスすることから、「アドバイザー」「ブレーン」などと呼ばれることもあります。

ここでは3種類の顧問のそれぞれの役割について、簡単にご紹介します。

内部顧問

内部顧問には、経営上のトラブルや困りごとの相談に乗り、アドバイスをする役割があります。内部顧問は過去に社長や役員を務めた人がなることが多く、社内事情を知り尽くしています。ですので、それらを踏まえた経営アドバイスをすることが期待される役職です。

外部顧問

外部顧問の役割は、社内の人材にはない専門知識やスキルを提供することです。

  • 法律
  • 経営
  • 税務
  • IT関係

など専門知識が必要な分野で活躍することが多いですね。

たとえば弁護士による損害賠償請求業務や法的トラブルの解決など、専門家や有資格者にしかできない業務が必要な時にも求められます。

実務型顧問

実務型顧問は、外部顧問の中でもより現場に近いところで活躍する役職です。

業務の効率化や営業など現場で抱えている課題に目を向けて、実践的なアドバイスをしていくことが求められます。

また、社内の人材だけでは考えが煮詰まってしまった時に外部の視点から新たな風を吹き込むことも、外部人材だからこそできる大切な役割だと言えます。

顧問の立場や責任

次に、会社における顧問の立場や責任について考えてみましょう。

会社において「顧問」とは簡単にいうと以下のような立場です。

  • 必ずしも設置しなくても良い
  • 経営や方針に対する決定権は無い

1つずつ詳しく見ていきます。

まず前提として、顧問は代表取締役や役員とは違い、法律上で必ず設置しなければならない役職ではありません。内部顧問・外部顧問ともに、設置するかどうかはその会社の自由なのです。

任期や地位、勤務形態についても特に決まりはありません。外部顧問として週1〜2日の頻度で出社する場合もあれば、顔役としての顧問の場合だと任命後もほとんど出社しないということもありえます。

また、顧問には経営や方針に対する決定権はありません。

あくまで「アドバイザー」という立場なので、会社の重要課題に対するアドバイスはしても実際の決定は下さないというのが特徴です。

ですが、外部顧問・実務型顧問として専門知識を提供したり実際の現場で指導したりする場合には、もちろんそれに伴った責任が生じます。

資格やスキルを生かして会社と契約している以上、アドバイザーとして一定の責任は負っていることを忘れないようにしましょう。

会社における顧問の役割や立場については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

顧問の会社にとっての必要性とは?メリットや役割についても解説

顧問の仕事内容や報酬

次に、顧問の実際の仕事内容と報酬について見ていきましょう。

内部顧問の仕事内容については前章でも触れているので、ここでは外部顧問と実務型顧問の仕事内容について解説します。

顧問の仕事内容

顧問の実際の仕事内容は、会社が解決したい課題や契約内容によって実にさまざまです。

外部顧問であれば、弁護士や税理士といった資格を生かした業務からITスキルなどの専門スキルを生かした業務まで、幅広い仕事があります。

たとえば税務に関する顧問であれば、会社の財務状況を整理したり融資を受ける際にアドバイスをしたりします。また、法務に関する顧問なら、企業コンプライアンスの確認や書類が法的に問題ないか確認するといった仕事がありますね。

実務型顧問は、外部顧問の中でもさらに現場に近い業務になります。

  • 営業経験を生かした人材育成
  • マーケティング経験を生かした商品開発支援やブランド力強化
  • ITや機械などの専門スキルを生かした技術支援

など幅広い分野の仕事があり、自分のスキルを鑑みながら会社の課題や求めている結果に応じて柔軟に対応していくことが大切です。

顧問の報酬の相場

一般的な内部顧問の平均年収は、役員と同程度の年1000万円前後と言われています。ただし、会社のOBが顧問として名前だけ残しているといった場合には無報酬のこともあります。

対して外部顧問や実務型顧問は、契約方法や仕事内容によって報酬が大きく変わってきます。というのも、企業と直接契約の場合は報酬が100%自分に入ってきますが、マッチングサービスを通した契約だと顧問報酬からマッチング会社のマージンが差し引かれるためです。

一般的に企業が外部顧問に支払う料金は、月2回出社で平均月額30~40万円と言われています。

この場合、マージンを考慮すると

  • 派遣元:顧問=5:5なら、顧問の手取りは15〜20万円
  • 派遣元:顧問=7:3なら、顧問の手取りは9〜12万円

ということになります。

これは「本業か副業か」や派遣会社によっても大きく差が出るところなので一概には言えませんが、なんとなく実務型顧問として報酬を得る具体的なイメージが見えてきたのではないでしょうか?

これだけ見ると報酬が少ないように感じてしまうかもしれませんが、契約企業を2社・3社と増やしていけば会社員の収入を超えることもありえます。

実際に外部顧問として活躍している人は複数社を契約している場合が多いので、顧問としてスキルアップしながら報酬を増やしていくことは十分可能です。

会社の顧問になるには

ここまで読んで、顧問という働き方に興味が出てきた方もいらっしゃるでしょう。そんな方のために、ここでは会社の顧問になる方法についてご紹介します。

ほとんどの方にとって、会社の顧問になろうと思ったら実務型顧問を検討するのが現実的だと思います。

今回は、実務型顧問として働くための顧問契約の方法をお伝えします。

顧問契約について

会社の顧問として働こうと思ったら、自分のスキルを必要としている会社と顧問契約を結ばなくてはなりません。

顧問契約は会社と直接結んでももちろんいいですが、自分のスキルとマッチする会社を探して契約するのは、素人にはなかなかハードルが高いですよね。

そんな方におすすめなのが、「顧問マッチングサービス」と呼ばれる顧問と企業をマッチングしてくれるサービスです。

顧問マッチングサービスに自分のスキル・経歴・希望する労働条件などを登録しておくと、派遣サービスが企業との間に立ってマッチングしてくれます。登録自体は無料の場合がほとんどなので、「顧問として働きたい」という思いが少しでもあるのなら、まずは登録してみることをおすすめします。

自分のスキルや経験をしっかりアピールしておくと、思わぬ企業から顧問契約のオファーをもらえるかもしれませんよ。

顧問マッチングサービスの選び方やおすすめのサービスについては、以下の記事でご紹介しています。

顧問のマッチングサービスとは?選び方やメリット・デメリット

顧問契約を結ぶ際の注意点

外部顧問・実務型顧問として企業と顧問契約を結ぶ際には、いくつかの注意点があります。

  • 契約内容の明確にすること
  • 責任範囲の明確にすること

特にこの二点については、契約前に必ず確認しておきたいところです。

まず契約内容の明確化についてですが、

  • 顧問として対応できる仕事の範囲
  • 報酬
  • 仕事の頻度
  • 契約期間

といった働く上での基本的なことを、契約前に企業との間で明確にしておくことが大切です。

顧問の仕事は会社の状況に合わせて流動的になりやすく、業務を進めるうちに初めに予定していたよりハードな仕事を任されそうになることも考えられます。

例えばひとくちにIT系顧問といっても、仕事内容はさまざまですよね。顧問にとっては簡単なシステムの運用サポートだけのつもりでも、企業側からは「専門家なのだからお願いすればなんでも対応してくれるだろう」と思われている可能性もあります。

あらかじめ対応する仕事の範囲をきちんと決めておくことで、契約後に仕事内容が急増するようなトラブルは防げるでしょう。

また、仕事をする上での責任の範囲についても事前に決めておくのが大事です。

企業側は、専門分野のスペシャリストである顧問と契約している以上、顧問のアドバイスによる成果についても顧問に一定の責任を負ってもらいたいと考えていることがあります。

ですが顧問側にしてみると、すぐに成果が出ない場合や悪い結果になってしまった場合でも、責任を負いきれない部分もあるでしょう。特に、顧問がアドバイスをして企業側が最終判断をするという場合だと、責任の所在があいまいになりがちです。

契約前にそういった点についても企業側とよく話し合っておくことが大切ですよ。

こういった契約上の注意点は、これまで会社員として働いてきた方にはなかなか馴染みのない分野かもしれません。ですが、これから実務型顧問として個人で会社と契約していくのであれば避けては通れない道です。

契約前にきちんと疑問点などを解消してから顧問契約に臨むようにしましょう。

まとめ

今回は、会社における顧問の立場や仕事内容、顧問契約の注意点について解説しました。

今、実務型顧問という働き方はかつてない可能性を秘めています。これまでの仕事経験や知識を生かして働ける「顧問」は定年後の新たな選択肢の1つにもなりえますし、働き方によっては会社員と同等かそれ以上の報酬を得ることも可能です。

長年積み上げてきた経験や専門スキルがある方は、これからの新しい働き方として「顧問」という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。