もうすぐ定年を迎えようとしている方の中には「定年退職したあとはのんびりした生活を送りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
一方で、定年は緩やかに引き上げられています。
どんな定年退職後の時間を過ごしたいかによって、人生設計を上手く練らないと後悔する可能性があるかもしれません。
定年退職を意識し始めた今だからこそ、退職後どう過ごしたいかはもちろん、少しでも働く意思がある場合は「どう働きたいか」を綿密に計画するチャンスです。
そこで今回は、定年退職後の人生を豊かにするための人生設計と、おすすめの働き方をご紹介します。
定年退職は何歳が一般的?
定年退職の年齢は、法改正により現在65歳が主流となっています。
一方で、厚生労働省は2021年4月から「労働者の希望があれば、最長70歳まで定年延長できるようにすること」を企業努力とするように通達しています。
したがって、70歳が定年で確定となるのもそう遠くはない未来だと言えるでしょう。
定年に関することが気になるという方は、当ブログ内の「定年年齢が延長!今やれることはあるの?」という記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
定年後のイメージ激変!ゆっくり過ごすが実現不可に!?
この記事を見つけたという方は、定年後の自身の生活スタイルを「のんびり過ごす予定」で考えていたことでしょう。
これまでの定年退職後の生活のイメージとして、
「仕事から解放されてのんびり好きなことをして過ごす」
「年金や退職金を頼りに生活する」
など、ひと昔前の定年退職後の生活を抱くことが多いかもしれません。
しかし、厚生労働省が70歳定年を見据えた法改正を行っていることからわかるように、これからの日本は70 歳定年が主流になりつつあると言えます。
定年後のライフプランを全く考えないまま、これまでの定年退職の生活を夢見たり、流れに身を任せたままにしたりしていると、定年退職後にゆっくり余生を過ごすこと自体が夢のまた夢となってしまうかもしれません。
定年後のライフプランを考えないと何が起こる?
では、定年後のライフプランを考えないとどのような問題が生じるのでしょうか。
考えられる4つの可能性をご紹介します。
1. 年金・退職金だけで生活が困難になる可能性がある
年金や退職金だけをあてに定年退職後を過ごそうとしていると、定年後も何かしらの形で働かないといけなくなるかもしれません。
別記事「定年年齢が延長!今やれることはあるの?」で詳しくお話の通り、
- 少子高齢化
- 年金受給年齢の65歳引き上げ
などにより、定年後の生活費についてじっくり考えなければならないという方が増える可能性があります。
また、人生100年時代と言われている現代では、現行の65歳の定年退職後も、おおよそ20年以上は現状の生活費が必要だという試算が出ているほどです。
年金や退職金、または両方の切り崩しだけでは生活が難しくなる人も続出すると言われています。
既に資産形成・運用している方は問題ないかもしれませんが、年金や退職金を当てにしている場合は要注意です。
2. 再雇用が難しくなる可能性がある
定年を迎えると同時に企業に再雇用を依頼しないと、新しい就職先に恵まれなくなるかもしれません。
再雇用を依頼しないままでいると、希望する職種や仕事で新しい仕事が探しづらく、定年退職後にブランクが生じてしまうことが予想されます。
定年後に何らかの形で再雇用を希望しないと、似たような仕事への再雇用(転職)が厳しくなるため、
- 生涯現役でいたい方
- 定年退職後の資産がカツカツな方
にとっては、生活に支障が出てしまうかもしれません。
3. 新しいことにもチャレンジしづらい
特に、定年退職後も生涯現役でいたいと考える方は、定年退職後のプランを考えていないと新しいことにチャレンジしづらくなるでしょう。
新しいチャレンジが仕事に関するものだった場合は、特に当てはまると言えます。
若い世代を採用したい企業にとって、シニア世代の再雇用は希望に合う仕事を見つけられる可能性が低くなりがちです。
「今までの仕事とは別のことにチャレンジしたい」
「働きたい」
と思っても、
「働きたくても希望する仕事で活躍できない」
なんてことになる可能性も考えられます。
4. 人生を後悔するかもしれない
厚生労働省が発表した「人生の最終段階における医療に関する意識調査」という興味深い調査があります。
調査によると、「大切な人の死に対してどうしていたら心残りがなかったか」という設問に対し、「あらかじめ身近で大切な人と人生の最終段階について話し合えていたら」と回答した一般国民は37.3%いることがわかりました。
つまり、定年退職後という人生の最終段階も考えなければならない世代にとって、
- 仕事のこと
- 定年退職後の過ごし方
- お金のこと
- 夫婦のこと
- 介護のこと
- 家のこと
など夫婦でライフプランをきちんと考えて共有していないと、どちらか一方が後悔する可能性があるかもしれないのです。
定年退職前の仕事に追われ夫婦の時間をあまり取れていないと感じている方こそ、注意が必要かもしれません。
定年を迎える前に考えておきたい働き方プラン3つ【やるべきことも紹介】
定年退職は自分にとってまだ意識すべきでないと考える方もいるかもしれませんが、時間が経つのは早いもの。
特に、仕事に追われていると気が付いたら定年退職の年齢になり、ノープランのまま会社を定年退職してしまったなんてことになるかもしれません。
定年を意識し始めた今だからこそ、後の生活に困らないためにも考えておきたい働き方についてご紹介します。
1. 再雇用や定年延長制度を活用する
定年後も同じ職場を希望する場合は、会社ごとにおける制度を活用するのがおすすめです。
再雇用や定年延長など、勤め先によって定年後の雇用制度は異なります。
一番選択しやすい働き方というだけでなく、ご自身のキャリアに空白を作ることなく仕事を継続できる無難な方法です。
もし、定年退職後の雇用制度を活用する際は、在籍企業の制度(再雇用や定年延長など)を人事部などに問い合わせて独自に調査してみましょう。
2. 起業を検討する
- 定年退職後は企業に囚われることなく働いてみたい
- 好きなことを定年後の仕事にしたい
という場合は、起業の検討も可能です。
得意やできること・好きなことを活かして起業する方は多く、若者の間でも新しい働き方として注目を浴びています。
起業は、いきなり実行すると失敗のもととなるため、在職中に副業というスタイルから準備すると良いでしょう。
3. 実務型顧問という働き方を検討する
定年退職後の方におすすめな働き方の中には、実務型顧問もあります。
実務型顧問とは「企業の課題解決に当たるエキスパート」で、業務委託契約と働くころから個人事業主(フリーランス)と似ています。
実務型顧問は、定年退職後の新しい働き方として
- 課長クラス以上の方
- 長年専門分野に携わってきたスキル・経験のある方
におすすめです。
最近では、実務型顧問になりたいと考える方が登録する派遣サイトの増加により、誰でも実務型顧問への道が開かれています。
実務型顧問への道を検討する際は、自分のスキルやキャリアの棚卸しからスタートすることがおすすめです。
まとめ
定年退職後をのんびり過ごすという考えは理想的な生活のように思えますが、年金制度や定年の引き上げなどを考慮したプランを考えていない方にとっては落とし穴だらけです。
さらに、何となくのんびり過ごすことを思い描いていても、ライフプランを夫婦間で共有していない場合は要注意。
定年退職後の20年ほどをどう過ごすかをきちんと話し合わないと、人生を後悔する可能性もあると言えます。
「定年退職後の働き方について、あまり考えたことが無かった」という方にとって、この記事が参考になれば幸いです。