「人生100年時代」という言葉の誕生、70歳までの就業確保が企業の努力義務になるなど昔に比べて働く年齢が上がっている現代ですが、一方で早期退職して自分の時間を確保したいと考えている40代、50代の人も多いのではないでしょうか。
早期リタイア実現を目指すのであれば、ある程度の資産が必要です。今回は50歳で早期退職を目指す場合に、必要な貯金額の目安について解説します。早期退職後に失敗しないためにも、最後までご覧ください。
50歳で早期退職するには貯金がいくら必要?
50歳で早期退職するためには、まずどのくらいの貯金が必要か知らなければなりません。ここでは早期退職後、完全に仕事をしない場合に必要な貯金額を状況別に解説します。
夫婦二人暮らしの場合
公益財団法人生活保険文化センターの調査によると、老後に夫婦二人で生活する場合に日常生活費として必要な最低金額は平均22.1万円となっています。85歳まで生きると仮定すると35年間で必要な金額は約9,300万円となり、1億近い金額が必要です。
ただし65歳になると年金が受け取れます。総務省のデータを見ると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯がもらっている公的年金は平均で約22万円です。65歳から85歳までの20年間で約5,900万円受取れるので、差し引いた3,400万円あれば早期退職しても生活ができる計算になります。
ただしこれはあくまでも生活に必要な最低金額です。旅行や娯楽など日常生活以外にもかかるお金はあります。リタイア後にどのような生活を送りたいかによってかかる生活費は大きく変わるので、自分たちにはどのくらいの生活費が必要かを算出してみましょう。
参照:公益財団法人生活保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」
参照:総務省「家計調査報告」
独身の場合
総務省の調査によれば独身の場合、老後にかかる平均生活費は144,657円でした。先ほどと同じように85歳まで生きると仮定すると、35年間で必要な生活費は約6,000万円です。これに65歳以上の高齢単身無職世帯がもらえる公的年金の平均額である約12万円を差し引いてみます。
6,000万円-{(12万×12か月)×20}=約3,120万円
独身の場合、最低限必要な金額は約3,100万円であることがわかりました。ここで同調査結果の消費支出の内訳をご覧ください。
食料 | 36,581円 |
住居 | 12,392円 |
光熱・水道 | 12,957円 |
家具・家事用品 | 5,328円 |
被服及び履物 | 3,181円 |
保健医療 | 8,426円 |
交通・通信 | 12,002円 |
教養娯楽 | 12,910円 |
その他の消費支出 | 29,549円 |
非消費支出 | 11,541円 |
合計 | 144,657円 |
引用:総務省「家計調査報告」
住居の支出金額を見ると12,392円となっています。この部分の数字は今の65歳以上の世代の多くが持ち家であるため、低くなっていると考えられます。もし賃貸の場合は住居費が更にかかるので、それを加味した上で必要生活費を計算しましょう。
参照:総務省「家計調査報告」
車や住宅のローンがある場合
最低限の生活費を夫婦世帯、単身世帯別に解説しましたが、50歳だと車や住宅ローンを払っている人も多いと思います。今後車の買い替えなどを考えている場合はその金額も想定に入れた上で必要な貯金額を計算しなければなりません。
また学生の子を持つ場合は、養育費や学費もかかります。多くの世帯は最低生活費では足りないでしょう。早期退職を目指すなら、早い段階で計画的に貯金していく必要があります。
セミリタイアならもっと少ない貯金額でも早期退職は可能!
50歳での早期リタイアは厳しいと感じた人も多いかもしれません。しかしセミリタイアであればハードルは低くなります。ここではメリットや、必要な貯金額について解説します。
セミリタイアのメリット
セミリタイアには次のようなメリットがあります。
- 自由な時間が持てる
- 社会との繋がりをなくさずに生活できる
- 収入がある安心感
フルタイムで働かなくなるので、自分の時間が増えます。これは一番のメリットと言えるかもしれません。心や時間に余裕ができることで新しいこともチャレンジ可能です。
また完全にリタイアすると社会との繋がりがなくなり、強い孤独感を感じる人も中にはいます。しかしセミリタイアは働くことをやめるわけではないので、社会との繋がりをなくさずに生活できます。収入もこれまでより少なくなるものの、ゼロではないので収入面での安心感もあるでしょう。
50歳でセミリタイアするために必要な貯金額
では50歳でセミリタイアするためには、いくら貯金が必要なのでしょうか。ここでは月額20万と少し余裕を持たせた金額で計算します。計算条件は次の通りです。
- 独身
- 生活費月額20万円(年間240万円)
- 85歳まで生きると仮定(35年間)
- 65歳まで毎月15万円の収入を確保(年間180万円)
- 年金は65歳から85歳まで(総額約2,900万)
生活費(35年間)
240万×35年間=8,400万円
セミリタイアに必要な貯金額
8,400万円-(2,900万円+2,700万円)=2,800万円
生活費に余裕を持たせましたが、必要貯金額は2,800万円で済みます。毎月の収入が15万円以上ならば、貯金額がそのぶん少なくても可能です。ハードルが少し下がったのではないでしょうか。
日本にも広まりを見せているFIREという考え
近年、FIRE(ファイア)という考え方が日本で広まりを見せています。FIREとは貯蓄や資産を運用した利益や、たまに働いて収入を得ることで生活していくスタイルのことです。
ただ貯金を取り崩すだけでは、年を重ねるごとに不安が募ると思います。しかしFIREは貯金を元手に運用した利益で生活するので貯金が減りません。貯金がある人はただ貯めるだけでなく、資産運用を視野に入れることで更に早い段階での早期退職が可能となるでしょう。
50歳で早期退職してセミリタイアを実現するなら実務型顧問がおすすめ!
セミリタイアを目指す際、どのような仕事をしようか迷う人もいると思います。そこでおすすめなのが実務型顧問です。
これまでの顧問との違い
顧問の役割は企業が抱える課題に対し、専門知識やスキルを活かしてアドバイスすることですが、実務型顧問はこれに加えて現場で実務にも携わります。50代以降の転職は厳しいと言われている現代ですが、実務型顧問は需要が増えており、シニア世代の新しい働き方として注目を集めています。
顧問と聞くと、大企業で役職者として働いてきた人が就任するイメージを持つ人もいるでしょう。しかし実務型顧問は専門知識やスキルを持っていれば、これまで一般の会社員だった人でも挑戦可能です。
少ない貯金でもセミリタイアが目指せる
実務型顧問の報酬相場は、月2回の出社契約で約10万円~20万円です。もし複数の企業と契約できれば、報酬額は更に増えるでしょう。人によっては会社員時代の給与を超える人もいます。
大きく稼げれば、少ない貯金でもセミリタイアが目指せます。完全リタイアやFIREが現実的でない場合は、実務型顧問で自分のペースを保ちながら稼ぐセミリタイアはいかがでしょうか。
自分の経験が活かせる
実務型顧問は、専門的な知識やスキルが求められる仕事です。つまり長年働き、経験を積み上げてきたシニア世代だからこそ活躍のフィールドが多くあります。50代以降の転職は選べる仕事の幅が減り、やりがいがなくつまらないという声も多いです。しかし実務型顧問であれば経験を活かして企業に貢献できるので、大きなやりがいを感じられるでしょう。
実務型顧問については、こちらの記事も参考に。
定年後の仕事は実務型顧問がおすすめ!退職後は経験を生かして働こう
まとめ
50歳で早期退職した場合の必要貯金額について解説しました。日常生活に必要な最低金額内で生活できれば、50歳で早期リタイアも夢ではないかもしれません。しかし実際は住宅や車のローン、子供の学費などがあります。旅行や娯楽も楽しみたいということであれば、もっと多くの貯金が必要となるでしょう。
すでに多くの貯金を持っている人であれば、退職金と合わせて今後の生活費を賄えるかもしれませんが、そうではない人も多いと思います。そこでおすすめなのがセミリタイアです。収入があれば貯金が少なくても生活できますし、働きつつも自分の時間が増えるのでプライベートも充実するでしょう。
実務型顧問であれば、月2回の出社で10万~20万円の報酬を目指すことも可能です。自分の経験やスキルを活かしながら働けるので、やりがいも感じられるでしょう。早期退職後の働き方の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。