失敗しない早期退職制度の活用方法【一度はじっくり考えたい】

社内メールで早期退職制度のお知らせを受け取り「いよいよ自分もか」と思っている方もいるのではないでしょうか。

早期退職制度についてだけでなく制度を活用するメリットやデメリットなどを正しく知ることで、残された会社員生活をじっくり考えられます。

そこで今回は、早期退職制度を利用するかどうかを考えている方に向けて、種類や活用方法・メリットやデメリットまで網羅的にご紹介します。

早期退職制度とは?

名称の通り、会社で定年を迎える前に企業を退職または企業が対象となる従業員に退職することを奨励するのが早期退職制度です。

会社によっては「早期退職優遇制度」とも呼ばれています。

特徴は、企業に一定期間在籍した従業員が利用できる点です。

「一定期間」がどのくらいの期間なのかについては、所属する企業によって異なります。

現代の早期退職はポジティブ傾向

早期退職制度は、かつて経営不信などによって企業から無理やり退職させられる「早期退職」や「リストラ」「肩たたき」などといったネガティブなイメージがあるでしょう。

しかし、現代の早期退職制度というのは多様化する第二の人生の過ごし方や働き方などを応援する制度であることから、福利厚生としての意味合いが強いと言えます。

早期退職制度の種類

早期退職制度を細かく見ていくと、主に3つに分けられます。

働き方や定年後のライフスタイルの選択肢が増えたことにより、会社員は退職のタイミングも自ら選べる時代になりました。

一方できちんとした退職後のプランがないと、場合によっては「定年まで会社員をしていればよかった」という後悔の気持ちが生じる可能性があります。

希望退職制度

早期退職制度の中でも、従業員が自らの意思で退職を決められる制度です。

希望という文字がある通り、退職は従業員の任意であり強制ではありません。

したがって、企業は退職者を募ることで退職希望者は退職金割増など良い待遇を受けて退職できる可能性があります。

リストラ

「リストラ」は「整理解雇」と呼ばれる早期退職制度の一種です。

「リストラ」と聞くと企業の業績悪化などに伴い、事業再構築のために強制的に人員整理することから、会社員の中でもっとも恐れられている解雇制度だと言えます。

しかし、本来の「リストラ」は上記以外にも

  • 給与の減給
  • 配置転換

などといった早期退職制度で見られる処遇も該当します。

選択定年制度

選択定年制度とは、50歳以上の従業員が定年のタイミングを自由に決められる制度です。

会社によって対象年齢は異なりますが、50歳~65歳 の間であることが多くあります。

選択定年制度の場合、個人の仕事に対する意欲に応じて定年のタイミングを自由に選択できる自由度が高さが特徴的です。

その分、自らの意志で退職を決めることから会社都合ではなく自己都合の退職になることを考慮しなければなりません。

早期退職制度のメリットとデメリット

早期退職制度は会社によって内容や待遇に差が生じますが、あらかじめメリットとデメリットを把握することも大切です。

メリット

早期退職制度のメリットを以下にご紹介します。

  • 業績が良ければ退職金が多く貰える可能性がある(会社による)
  • 再就職の支援が受けられる
  • 時間が自由になる
  • 会社都合の退職になる(選択制定年退職制度を除く)
  • 退職金が割り増しされたら起業資金に充てやすい
  • 計画的に次のキャリアを探せる

特に第二の人生を計画的に過ごそうとしている方や、経歴を活かして新しい事業をやってみたいといった意欲のある方にとっては、メリットが多くある制度だと言えます。

デメリット

一方で、早期退職制度のデメリットは以下の通りです。

  • すぐに再就職が決まるわけではない
  • 会社によって優遇措置の有無が異なる
  • 収入ダウンになる可能性がある
  • 年金支給額が下がる可能性がある
  • 働きたい場合は自分で仕事を探さないといけない

早期退職後に転職をしようという方もいるでしょう。

しかし、早期退職制度を使ったからといって、すぐに再就職できるという保証がないと言えます。

また、早期退職制度は会社によって優遇措置の有無が左右されがちです。

活用する際は、お知らせに記載されている措置や待遇をじっくり確認し、制度を利用すべき状況かどうかをよく考える必要があるでしょう。

早期退職退職制度を使って成功する人・しない人とは?

早期退職制度は会社が定める年齢になれば誰でも利用できると言えます。

しかし、早期退職を使ったことで成功する人と成功しない人がいることも考慮しなければなりません。

成功しやすい人

早期退職制度が成功しやすい人を以下の通りです。

  • 人事評価が良い人
  • 他社でも通用する知見がある人
  • 信頼がある人
  • 人脈がある人
  • やりたいことが明確な人
  • 家族とよく話し合い理解を得ている人
  • ライフプランを入念に立てている人
  • 副業や起業に興味がある人
  • 行動的な人

早期退職制度を利用して成功する人は、すでに次の転職において他社が興味を持ちそうなスキルを持っていたり評価を受けていたりする人だと考えられます。

また、退職後の将来設計を明確にするだけでなく、家族と話し合いができる環境かどうかも成功に欠かせない大切なポイントだと言えます。

もし、ひとつでも欠けている点がある場合は、今のうちに補填しておくことをオススメします。

失敗しやすい人

早期退職制度を利用することで失敗する人も一定数存在します。

以下の特徴にひとつでも当てはまるという場合は慎重になるべきでしょう。

  • 社内評価が低い
  • 誰でもできる仕事しかできない人
  • 肩書にぶら下がっている人
  • 転職経験が1度もない人
  • 社外のやりとりを経験したことない人
  • 「何とかなる」だけで早期退職制度を使う人
  • 家族に相談できない人
  • 新しいことにチャレンジする意欲が無い人
  • 貯蓄ゼロの人
  • ローンの返済の目途が立たない人

早期退職制度を使っても、退職後の人生設計が無計画だったりストレスから脱出したいというだけで利用したりする人は、退職後に後悔しやすいと言えます。

早期退職制度を利用することで、退職金などはもらえても、再就職しない限りはその後の定期的な収入が入ってくるとは言い切れません。

マイホームなどのローンの返済目途が立っていない場合や、何らかの理由で貯蓄ゼロ状態の方は早期退職制度を利用することは避けたほうが無難です。

じっくり考えたい!早期退職制度を使うポイント

早期退職制度は会社によって内容や方針が異なるため、お知らせを受け取ったら勢いに任せず、じっくり吟味して計画的に利用ることをおススメします。

早期退職制度を使うポイントをじっくり考えることで、後悔しないプランが立てられるでしょう。

適切なタイミングなのかどうか

自身が早期退職制度を利用するのに適切なタイミングなのかどうかはきちんと見極めましょう。

人によって、早期退職制度に関するお知らせを受け取るタイミングは異なりますし、会社によっても早期退職制度を提案するタイミングは異なります。

ローンの返済があるという場合は早期退職制度を利用するタイミングではないかもしれませんし、起業を検討しているのであればある程度の準備期間も必要です。

自身の資産状況や退職後の計画をどのように描いているのかをじっくり考え、家族に相談しながら早期退職制度を使う適切なタイミングを見極めましょう。

自分の退職後のプランがあるか

前述でも触れた通り、自身の退職後のプランがあるかどうかも重要です。

突然ですが、早期退職制度を利用して退職した後は何をしたいと考えていますか?

この問いに具体的な回答ができないという場合は、早期退職制度を利用する前に自身の退職後のプランをじっくり考えることをオススメします。

「現状から脱出したい」

「ストレスから解放されたい」

などの理由から勢いで早期退職制度を利用してしまっては、後悔の原因になってしまうでしょう。

早期退職制度を利用する前に自身の退職後の計画を立てることで、早期退職なのか定年退職なのかの見極めやすいと言えます。

自分が応募して成功する働き方をしていたのか

自身の現状を客観視し、早期退職制度に応募しても後悔しない働き方をしてきたか振り返ってみることも成功のポイントです。

前述でも「早期退職制度を利用して成功する人」という項目があったように、早期退職制度を利用して成功する人というのはある程度の条件があります。

  • 社内評価も高く、市場評価も高い業務をしてきた人
  • 社内評価が高いとは言えないものの、市場評価の高い業務をしてきた人

「自身の社内評価がどうか」「自身の業務が市場評価はどうか」を客観的に考えることも早期退職制度を利用するかどうかの判断基準になるでしょう。

退職後の仕事にどのようなものがあるかをチェック

早期退職後にどのような働き方があるのかチェックすることも怠ってはいけません。

  • 転職
  • 完全なリタイア
  • 自分で事業をスタートさせる

など、第二のキャリアづくりはさまざまな方法が考えられます。

やみくもに制度を利用する前に、副業など新しいことにチャレンジしてみても良いでしょう。

役職があったり、他社でも採用されやすいような市場価値の高い仕事をしているなどハイキャリアの方には実務型顧問の副業をやってみることがおススメです。

実務型顧問とは、自身の経験や知識を活かして個人事業主として他社で活躍するアドバイザーのような立ち位置です。

定年退職後の新しい働き方として注目を集めつつありますが、副業としてもチャレンジできます。

早期退職後の仕事にもしやすいため、気になる人は以下の記事もぜひ併せてご覧ください。

意外な副業「顧問」という働き方を知っていますか?

まとめ

早期退職制度は、働き方や人生設計の多様化により、これまでのネガティブな意味合いから福利厚生的な意味合いが強くなっていると言えます。

会社によってどのような早期退職制度を採用しているかは異なるものの、自身のキャリアや退職後の人生設計をきちんと描いている方にとっては活用して損はないでしょう。

早期退職制度を使って後悔のない生活を送るためには、勤務先の早期退職制度の仕組みを把握し、自身の現状やキャリアを客観的にチェックしたうえでタイミングを見計らうことが大切です。

勢いだけで早期退職制度を使って後悔しないためにも、一度じっくり自身の将来を考え、適切なタイミングで利用できるようになりましょう。