企業規模が500人以上の企業では、約3割が導入している役職定年制度(平成29年時点)。もしかしたらあなたが働いている会社でも導入されているかもしれません。
つらいという話は聞くけれど、どのような実情があるのか、どのような影響があるのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
今回の記事は役職定年制のメリットやデメリット、混同されやすい役職任期制との違いについ解説します。役職定年後の選択肢についても解説しているので、役職定年を迎えた後の対処法を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
役職定年制とは?
約3割の企業が導入している役職定年制度ですが、どのような制度で、何歳で適用されるのでしょうか。役職任期制についても併せて解説します。
役職定年制について
役職定年制とは部長や課長など役職に就いていた人が、定年を迎える前にその職を外れる制度です。
役職定年制が適用される年齢は企業によって異なりますが、政府統計のデータを確認すると、55歳に設定している企業が一番多いことが分かりました。
50代前半や60歳以降の年齢を設定している企業もありましたが割合的にはわずかで、ほとんどの企業が50代後半に設定しています。定年と名がついている通り、一度役職を外れたら再び役職に就くことはありません。
役職任期制との違い
役職定年制と混同されやすい役職任期制ですが、こちらはあらかじめ任期を定めて役員にする制度です。
任期満了を迎えると任期中の実績が評価され、その実績によって再任、異動、昇進、降格などが決まります。評価によってその後が決まるので、仕事に対するモチベーションアップに繋げられるというのがメリットです。
一方で徐々に力を発揮するタイプの有能社員は任期内に結果を出しづらく、そのような人材に「役職者に向いていない」というレッテルを貼ってしまう可能性もあります。
役職任期制は、結果を出せば役職を維持したまま働ける可能性があるというのが、役職定年制との大きな違いです。
役職定年制のメリット
役職定年制はあくまでも役職者としての定年です。そのため役職定年制を迎えても、本当の定年年齢に達するまでは働き続けることができます。
表舞台からは離れてしまうかもしれませんが、役職経験者として次の若手の育成に貢献できるでしょう。縁の下の力持ち的存在といえます。
また一般社員として会社を支えたいという人にとっては、役職者としての責任や重圧から離れて定年まで働けることもメリットといえるかもしれません。
役職定年制のデメリット
役職定年後は、年収がダウンする可能性がかなり高くなります。公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団の調査によると9割の人が年収ダウン、全体の4割が年収50%未満となっていることが分かりました。年収に関しては、かなり厳しい実態となっています。
さらに役職がなくなり、これまでの部下が上司となる可能性もあります。風通しの良い職場であればあまり問題ないかもしれませんが、そうでない場合は居心地が悪くなることもあります。人によってはプライドが傷つき、給料が減ったことも重なって働くモチベーションが下がる原因となってしまうでしょう。
役職定年後のモチベーションを上げるには?
では役職定年後もモチベーションを維持して働くにはどうすればよいのでしょうか。対策方法は色々ありますが、ここでは2つの対策を提案します。
思いきって転職を考えてみる
役職定年制の影響により、職場の居心地が悪くなる可能性があるのなら、今のうちに思いきって転職するのも一つの方法です。
企業の多くは50代・60代の人材に、管理職や経営陣として活躍できるプロであることを求めます。現役で役職者として働いているほうが即戦力として認められやすいですし、少しでも年齢が若いほうが長く続けられるとして有利になりやすいでしょう。
役職者として転職できれば、年収が大きくダウンする可能性も少なくなります。むしろ年収アップも狙えるかもしれません。
ただしまったく新しい組織に移るということは環境が合わない、業務内容が思っていたのと違うなどというリスクもあります。転職活動する際は条件をよく確認して、求人に応募するようにしましょう。
プライベートを充実させることを考えてみる
「一般社員になったことで年収が下がってしまった。でも転職はリスクがあるから今のところで働きたい。しかしモチベーションが下がりつらい」という人もいると思います。そのような場合はプライベートを充実させることを考えてみましょう。
興味があった習い事を思いきって始めてみる、忙しくてできなかった趣味を復活させるなどプライベートを充実させることで、生活にもメリハリがつきモチベーションアップに繋がります。
会社が許可していれば、副業を始めてみるのもよいでしょう。収入が減った分を埋められますし、自分に合う副業が見つかれば、定年後は本格的にそれで稼いでいくという選択肢もできます。
役職定年後に転職を考えている人におすすめの実務型顧問
役職定年を迎えた後に、正社員として働きたいという強い希望がない人におすすめの働き方があります。それが実務型顧問です。
実務型顧問とは
実務型顧問という言葉を聞いたことがない人も多いでしょう。顧問は専門資格や知識を活かしたアドバイスで企業をサポートするのが仕事です。
これに加え、現場の実務にも携わりながらサポートする顧問が実務型顧問です。実務型顧問という働き方はまだ一般に浸透しているとはいえませんが、自分のスキルを活かしながら働けるということで、定年後の50代・60代の人たちに注目されている働き方です。
顧問として企業で働いたことがない人でも心配ありません。普通のサラリーマンだった人が実務型顧問として働いている例も多くあります。これまでの経験で得た専門スキルや知識があれば活躍できる可能性があるのが実務型顧問です。
実務型顧問については、こちらの記事も参考に。
定年後の仕事は実務型顧問がおすすめ!退職後は経験を生かして働こう
実務型顧問の魅力
実務型顧問として働くことは、次のようなメリットや魅力があります。
- 持っているスキルを活かせる
- 雇われなくてよい
- 自分のペースで活動できる
- 会社員の年収を越える可能性
転職した場合、持っているスキルを活かせるとは限りません。しかし実務型顧問は持っているスキルを活かせる仕事です。
実務型顧問として活躍する場合、顧問紹介サービスや派遣サービスに登録するのがおすすめです。自分のスキルを求めている企業とマッチングし、案件を紹介してくれます。
顧問として働くために企業と顧問契約を結びますが、最初は業務委託契約となることがほとんどです。正社員ではありませんので自分のペースで活動でき、定年制もないので生涯現役で働けます。定年後の仕事探しをどうしようと心配する必要もなくなるでしょう。
さらに役職定年を迎えると年収ダウンする可能性が大きいですが実務型顧問の場合、自分の頑張り次第で役職者時代の年収を越えられるチャンスもあります。これは大きな魅力といえるでしょう。
顧問派遣サービスについては、こちらの記事も参考に。
【現役顧問が徹底解説】顧問派遣サービス、登録から案件受注までこう進む!
まとめ
役職定年制のメリットとデメリット、その後の選択肢について解説しました。役職定年制は定年を迎える前に役職を外れる制度のことをいいます。
役職経験者として若手育成に貢献できるというメリットがある一方、年収ダウンや職場での居心地が悪くなるなど、モチベーションが下がりやすいというデメリットもあります。
役職定年後の選択肢として、そのまま働き続ける以外に転職という方法もありますが、メリットとデメリットを考え慎重に決めましょう。
転職を考えていて正社員にこだわりがなければ、実務型顧問という働き方もおすすめです。自分のペースで働けて、会社員時代の年収を越えられる可能性もあります。これまで顧問としての経験がない人でも挑戦できるので、役職定年後の選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。