定年退職の歳が近づくにつれ、その後について考える人も多いのではないでしょうか。のんびり過ごすのも良いですが、人生100年時代と言われる現代は再就職を検討する人も増えている傾向にあります。
定年退職後の再就職は、厳しいのが現状です。しかしあきらめる必要はありません。現在は多種多様な働き方があり、その中でも実務型顧問という働き方が注目されています。
今回は再就職の現状と、新しい働き方である実務型顧問について解説します。定年後も何らかの形で働きたいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
定年後の働き方の変化について
定年退職後に再就職している人は、どのような雇用形態で働いているのでしょうか?データを元に解説します。
正社員での雇用は少ない
現在、定年退職の年齢は60歳とされていますが、厚生労働省発表の「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要」によると、60歳から64歳の男性は約4割、女性は約7割がパートタイマーで働いているというデータが出ました。
正社員の求人はあまりないようです。また有効求人倍率も60歳以上となると、パートを含めても1.0倍を下回る状態に。
年齢 | 有効求人倍率 |
24歳以下 | 1.06 |
25歳~34歳 | 1.20 |
35歳~45歳 | 1.04 |
45歳~55歳 | 0.76 |
55歳~59歳 | 0.62 |
60歳~64歳 | 0.62 |
引用:厚生労働省東京労働局 年齢別有効求人倍率の推移(19年4月分)
表を見ても定年後の再就職は、厳しいということがわかります。
年収は下がる人が多い
年収はどうでしょうか?こちらも厚生労働省が発表したデータによると、60歳から64歳の67.6%は年収が減少したと回答していることがわかりました。増加した人はわずか8.9%でした。
ただし年収の減少については、これまで正社員として働いてきた人が、パートなどへ働き方を変えたために下がったという背景もあります。
定年後に再就職するための方法とは?
では、定年後はどのようにして仕事を探せばよいのでしょうか。再就職するための主な方法を紹介します。再就職のための窓口を広げておくことで、仕事を見つけられる可能性が高くなりますよ。
シニアを対象とした転職サイトや派遣サービスを利用する
ネットで検索すると、転職サービスがたくさんヒットします。高齢化が進んでいる背景もあり、シニアに特化した転職サイトや派遣サービスも増えてきました。
通常の転職サービスにもシニア歓迎の求人はありますが、特化したサイトの方がより効率的に仕事を探せるのでおすすめです。
シルバー人材センターという高齢者が働くことを応援する組織もあります。こちらは、市町村単位で置かれており、都道府県知事の指定を受けた社団法人が運営しているので安心して活用できます。
起業・個人事業主として働く
雇われて働く以外にも、自分で事業を立ち上げるという選択肢もあります。
現在はクラウドソーシングサービスも充実しており、スキルを活かして個人事業主として業務を請け負うのもよいでしょう。
どちらも自分のライフスタイルに合わせて働けるというメリットがあります。その一方で年収が不安定になりやすいので、しっかりと計画を立てて行動することが大切です。
知人から紹介してもらう
知人から紹介してもらうのも一つの方法です。仕事の内容や雰囲気を詳細に聞けるので、入社後のギャップが起こりづらいのがメリットです。周りの知人に求人がないか、聞いてみるのもよいでしょう。
仕事で培った人脈があるならば、そこから声がかかる可能性もあります。過去の取引先などを当たってみるのも良いかもしれません。
再雇用制度の活用
退職をした後に、再び同じ企業で働く「再雇用制度」というものもあります。これまで長く務めた企業なので、一番働きやすいかもしれません。
業務内容や給料は、定年前と変更になる可能性はありますが、企業は希望者を再雇用することが義務化されています。同じ企業で働きたい場合は希望を出すとよいでしょう。
定年退職までに次の選択肢が決まらない場合は、再雇用制度を活用して働きながらゆっくり考えるのも良いかもしれませんね。
定年後の新しい働き方!実務型顧問が注目を浴びている
実は今、定年退職後の働き方として「実務型顧問」が注目を浴びているのをご存じですか。ここでは実務型顧問について詳しく解説します。
そもそも顧問とは
そもそも顧問とはどんなものかピンときていない人も多いかもしれません。顧問とは企業や団体と契約を結び、経営に関する相談を受けてアドバイスする人のことです。アドバイザーやブレーンと呼ばれることもあります。
大きく分けると外部顧問と内部顧問の2種類があります。社内で役員などを務めていた人と契約を結ぶ場合は内部顧問、専門スキルを持った外部の人と契約を結ぶ場合は外部顧問と呼びます。
顧問というのは会社法で定められた役職ではないため、設置は自由です。顧問がいない企業もいます。
普通の会社員でもなれる実務型顧問
役員や社長を務めていた人が就任することが多く、企業の顔役というイメージを持っている人も多いと思います。しかし近年は顔役としての顧問ではなく、専門的な知識を活かして現場に近い位置で企業の経営を支援する顧問が注目されるようになってきました。それが実務型顧問です。
長年積み上げてきた経験やスキルがあれば、普通の会社員でも顧問として活躍することが可能になりました。
実務型顧問の報酬について
実務型顧問として活動したら、どのくらいの報酬が稼げるのか気になる人もいると思います。
報酬は契約内容によって異なります。一般的に派遣会社を利用した場合は、月2回出社の契約だったとして9万円~12万円が相場です。顧問は複数の企業と契約することが可能なので、契約者数を増やすことによって報酬は増えるでしょう。
報酬について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考に。
【顧問として働いた報酬は?】培ったキャリア知識で顧問として働く
定年後に実務型顧問になるメリット
実務型顧問になることは、様々なメリットがあります。一つは、自分のライフスタイルに合わせて働けることです。
会社員のようにフルタイムで出勤する必要はなく、契約によっては月数回の出社でOKの場合もあります。雇用されているわけではないので定年制度もなく、自分が働きたい年齢まで働けます。
もう一つは活動次第でサラリーマンの月収を超える可能性があることです。契約が1社のみでは、それほど報酬はないかもしれません。しかし複数と契約することで月収100万円以上も目指せます。
また、自分のこれまでのスキルや経験を活かして企業をサポートするので、大きなやりがいも感じられるでしょう。
実務型顧問になる方法
実務型顧問として活動するために一番スムーズな方法は、顧問紹介・派遣サービスに登録することです。登録後、企業とマッチングすれば契約を結ぶことができます。
サービスの登録は無料で、プロの担当者が顧問活動をサポートしてくれます。登録するにあたり、面談することが多いですが、この面談がとても重要です。
自分の得意分野や強みをアピールすることで、案件を紹介してもらえる確率が高くなります。登録する前に自分の強みを分析し、担当者にしっかりと説明できるようにしておきましょう。
サービス登録について詳しく知りたい方はこちらの記事も。
まとめ
定年後の再就職の現状と、新しい働き方について解説しました。定年退職後の仕事探しは、数値で見ると厳しいのが現状です。しかし60歳を超えても働く人が増えている背景から、シニアに特化した転職サービスも増えてきました。
シニアを積極的に採用する企業もあります。数値だけを見てあきらめずに、行動することが大切です。また、これまでにはない実務型顧問という働き方も登場しました。
長年の経験とスキルがあるからこそ活躍できる実務型顧問は、定年退職後の新しい働き方として注目を浴びています。定年後の再就職を考えている人は、視野に入れてみてはいかがでしょうか。