顧問と相談役はどう違う?それぞれの仕事内容について徹底解説!

企業には様々な役職がありますが、今回解説していくのは「顧問」と「相談役」についてです。実は、この2つの役職は、どちらも法律で定められている機関や役位ではありません。顧問・相談役ともに、企業の相談に乗りアドバイスを行っているように見えますが、実はこの2つの役職には違いがあるのです。

今回は、顧問と相談役の仕事内容と近年増えつつある「実務型顧問」について徹底解説していきます。

顧問とは助言を行う役職のこと

顧問は、これまでの自身のビジネス経験や専門的な知識を活かして、企業経営や事業のさらなる成長のための補佐や指導などを行う人のことを指します。具体的な仕事内容は、日常的な経営や事業に関わるアドバイスです。

身近な存在として補佐や指導を行う顧問ですが、経営に関する意思決定権や議決権は持っていません。そして、会社法上で定められている役職ではないため顧問を設置するかどうかは企業の自由となっています。

顧問は、大きく2種類に分けることができます。

退任した人物から選任される内部顧問

退任した役員や、もともと社内にいた人物などが顧問を務める場合は、内部顧問と呼びます。管理職や役員として活躍していた社内関係者を顧問にすることで、企業の内情を理解した適切なアドバイスを受けることができます。

待遇に関しては、社内規定により取締役会で決定されることが多く、企業によって報酬や勤務形態は異なります。内部顧問の場合は、相場や基準になる金額がないため過去に務めていた内部顧問の報酬額を基準にしていることがあります。

報酬に関しては、顧問契約を結ぶ上で重要な事項ですので、不明な点があればきちんと確認することが大切です。

弁護士や税理士などに依頼する外部顧問

経営上必要となる専門知識を外部に求め顧問契約を結んだ専門家のことを外部顧問と呼びます。具体的な例としては、弁護士や税理士、経営コンサルタントなどです。弁護士は法律関係、税理士は資金調達支援や融資、経営コンサルタントは経営戦略などについてアドバイスを行なってくれます。

外部顧問の場合、依頼する顧問によって報酬の金額が異なります。外部顧問への報酬は、顧問料として月額で支払うのが一般的です。

弁護士は、月額5万円程度と言われていますが、中には月額3万円で外部顧問となってもらえる弁護士も中にはいらっしゃいます。税理士の場合は、企業の年商で顧問料が変わってきます。年商が少ない企業は月額1万円。年商が億を超える企業は、月額5万円となるケースが非常に多いです。

顧問契約を結ぶ時の注意点

顧問契約を結ぶ時に注意しなければいけないのが以下の2点です。

  • 顧問が対応する内容を事前に示しておく
  • 顧問がアドバイスをしたことに対しての責任の所在を明らかにしておく

顧問契約を行う場合、まず最初に注意しなければいけないのが「顧問が対応する内容を事前に示しておく」ことです。特に外部顧問の場合は、法律や税務関係の分野など専門の知識について協力を求めることが多いと思います。

企業は、「法律に関することは、全て対応してもらえるだろう」と思ってしまいがちです。そうなった場合に問題となるのが、想像以上の業務の割り振りがあった時です。労力と時間を要する内容であった場合は、対応することが難しいかもしれません。

そのような直面になった時に、トラブルとならないために事前にどこまで対応をするのか、それに見合った報酬となっているのかを示しておくことが大切です。もちろん、内部顧問であってもあらかじめ依頼の範囲と報酬については確認しておくようにしましょう。

次に注意していただきたいのが「責任の所在」に関してです。顧問は、企業に対して助言を行うのが仕事です。しかし、顧問のアドバイスの通りに運営を行なったとしても必ず経営がうまくいくとは限りません。仮に企業の業績が悪化した場合などの責任の所在はどうなるのかなど、責任の明確化を行うようにしましょう。

相談役は問題に対してアドバイスを行う役職のこと

顧問と同じようなイメージを持たれることが多い相談役。相談役も顧問と同じように企業からの相談に応じるのですが、相談役は経営上で重大な問題が発生した場合などにアドバイスを行います。相談役は、社長や会長など企業から第一線を退いた方が就任する傾向があり、取締役などの役員との兼任、もしくは相談役のみ就任する2通りのパターンが考えられます。

相談役は、何か問題が起きた際に相談を受けることになります。そして、気になる相談役の報酬ですが、税法上では「みなし役員」となり、その企業の役員報酬と同様の報酬となるのが一般的です。

ただし、相談役には常勤と非常勤の2種類があります。非常勤の場合は、無給となることもありますのできちんと確認するようにしましょう。大手の企業であれば、年間で2,000万円から3,000万円の報酬が支払われる相談役もいらっしゃいます。しかし、企業によっては一般社員よりも低い報酬である場合も大いに考えられますので注意しましょう。

実務型顧問なら誰でもがおすすめ!

顧問や相談役と聞くと、それなりの役職を務めていた人しか就くことができないイメージが根強く残っています。しかし、最近では「実務型顧問」と呼ばれる新しい顧問の形が注目されています。

実務型顧問の特徴がこちらです。

  • 企業の課題解決のためのエキスパート
  • キャリアを通じて培ってきた経験や専門性を活かす
  • 現場の社員とともに企業に事業を行う

この特徴を見てみると、実務型顧問になるのは難しいように感じるかもしれません。しかし、「真面目に企業のために努めてきた人物」であれば誰でも実務型顧問として活躍できる可能性があります。

その背景にあるのが、日々変化し続けている社会情勢です。コロナ禍などに対応するべく企業は、さまざまな事業を打ち出していますがそこで必要となるのが人材の確保です。若年層の人材の確保を行うことも非常に大切ですが、企業がより力を入れているのが経験と知識を豊富に持っているミドル世代やシニア世代を実務型顧問として一定の期間契約を行うことです。

ミドル世代やシニア世代は、経験と知識以外にも広い人脈を持っています。企業はその人脈をうまく活用し新規事業を軌道に乗せることができないかを模索しています。

実務型顧問になるためにまずは登録を

これまでの会社員として務めていたスキルや知識を活かすことができる実務型顧問。「自分にもできるかもしれない」と思っている方も多いのではないでしょうか。実務型顧問として活躍するために、まず最初に行なっていただきたいのが人材サービス会社への登録です。

近年では、人材紹介会社や人材サービス会社が多く顧問業界へ参入しています。まずはこれらのサイトに登録を行い、実務型顧問を求めている企業を紹介してもらうことができます。ただし、登録をしたら必ず顧問として仕事をすることができるわけではありません。自分のこれまでのスキルや経験をきちんとアピールすることが大切です。

最後に

今回は、顧問と相談役の違いとそれぞれの仕事内容について解説しました。顧問や相談役になるためには、かなりハードルが高いように思えますが、実務型顧問であればスキルや経験がある人物として採用される可能性が高いです。

自分のスキルや経験を見つめ直して、あなたも顧問として活躍してみませんか?